本質を理解していない
少し前になりますが、ある少年野球のコーチの方と、お話する機会がありました。
色々と野球談議をしているうちに、『ぜひ、子供たちに指導するときに使用している資料を見て欲しい』と言われ、中身を見せてもらうことになりました。
中身を見ると、技術的に特に変なところは無かったし、間違ったことは書いてないと感じました。
でも、少し違和感を感じました。
どれもこれも技術的な内容ですが、そこに至る理由が書いていないんです。
『こういったことをやればよい』と書いてあるだけで、『なぜ、そうするのか?』を書いていないんです。
おまけに、『頑張る』という単語がよく出てくるんですね。
例えば、ベースランニングは『~やって走るべき』に続き『頑張って走る』という感じに。
逆なんですよね。選手が知りたいのは『頑張って走るための方法』なんです。
腕を振る方法、足を上げる方法など、早く走るために必要な動作を教えていないのに『頑張れ』と言って成長を期待しては、選手がかわいそうです。
私は思わず、
これで、選手は上達しますかね?
と言ってしまいました。
コーチの方が下を向いてしまったので、ストレートに言い過ぎたかもしれません。
もちろん、その後に合理的動作を教える必要性を説明し、納得して頂きましたが。
野球に限らず、こういうケースってよくありません?
これが基本だ、当然だろ?的な感じで。
押し付けがましい感じがするのです。
なせ、このような指導方法になるかと言いますと、
からなんですね。
教え方は色々あるんでしょうけど、『なぜ?どうして?』を教えないと、本当の意味で理解しません。
もちろん教える相手が小さい子ほど、難しい内容はかえって混乱するかもしれません。
でも小さい子ほど、プロ野球選手やMLB選手のフォームを真似たりする『模倣』からフォーム作りをやります。
しかし、徐々に年を重ね、技術的な壁にぶつかる(思うような成績を残せない)と、解決方法が全く分からなくなるんです。
当たり前ですよね。
なぜなら、基礎となる技術を理解していない訳ですから。
小学生でも『なぜ?どうして?』と考えて欲しいし、考えるクセをつけることはとても大切です。
だからこそ、指導者は本質を理解し、相手が理解できる言葉で教えることが出来ることが理想なのです。
私が知る限り野球界は、そのような土壌は出来上がっていません。
影響力のある人間の意見が強いのが特徴なのです(野球の世界だけに限りませんが)。
そして、表面的な動作が重要だと思い込み、本質である『その動作が必要な理由』が置き去りにされることがよくあるんです。
例えば、野球をやったことのある人は、
『バッティングの基本はセンター返し(ピッチャー返し)』
と一度は聞いたことがあるかと思います。
ほとんどの指導者は口にしますからね。
でも、その理由を説明する指導者って少ないと思いますよ。
少なくとも、私は教えてもらった記憶がありません。
実際は、合理的な理由があるのですが、理解している指導者は少ないんじゃないかと思います。
ちなみに、この理由は(「バッティングの基本はセンター返し」の本当の理由)に書きましたので、興味ある方はぜひご覧ください。