少年野球チームを見学
以前、少年野球チームを見学する機会がありました。そのチームは地域の大会で何度も優勝している強豪少年野球チームです。
私が見学した年も地区大会で優勝しており、噂どおり強さを保っているようです。
日を変えて2度ほど見学させてもらいましたが、私はその指導に正直がっかりしました。
【見学1日目】監督の恫喝にうんざり
ちょうど守備練習をやっていて、監督がノックを打っていました。
監督がセンターへ浅いフライを打ったのですが、センターを守っている子が目測を誤り、一旦後退したあとに慌てて前進。
結局、捕球できず後逸してしまいました。
すると監督からの恫喝が(かなりきつい口調で怒ってらっしゃいました)。
何で前に出ないんだ!!!
私も初めて見るチームなので、センターの子がいつも同じようなミスをしてしまうのか、たまたまミスをしてしまったのか分かりません。
センターを守っていた子は、黙って監督の恫喝に耐えているだけでした。
そして、何事も無かったかのようにノックを再開する監督。
私は『???』。
なぜかというと、以下のような指導が無いんですよね。
- 今のプレーの何が悪いのか?
- 後逸した結果に対する具体的な対策の説明
この監督はただ単に怒っただけなんですよ。
選手に自ら考えさせるような指導もしなければ、次に同じようなミスを繰り返さない方法も教えていなかったのです。
次に同じようなミスをしない方法を教えていたのに関わらず、その子ができなかったとしたら、できている事・出来ていないことを明確にして指摘するのが指導なはずです。
『目測を誤ったこと』が問題だと監督が考えているなら、それを伝えた上で、目測の精度を上げるコツを教えるべきでしょ。
そのコツを既に教えていたのなら、出来ていない動作を指摘すべきです。
『後逸したこと』が問題だと監督が考えているなら、後逸のリスクを教えた上で、後逸しない捕球方法を指導すべきです。
闇雲に怒ったり恫喝するだけでは、選手が自ら考えることをせず、ただ萎縮するだけです。
こんな指導方法では本当の意味で上達なんかするわけありません。
【見学2日目】いきなり練習を開始するコーチ
私が早めにグラウンドに到着してしまい、まだ子供達がぼちぼち集まり始めている状態でした。
こういった場合、早めにグラウンドに来た子からアップを始めるのが一般的です。
ところがコーチが指示をだすと、子供達は外野の1箇所に集められました。
何を始めるのかと思いきや、やっていたのは何と外野ノック!
ボールを捕った子はノックを打つコーチに全力で返球しています。
後から来た子も、すぐ外野ノックに加わります。アップなしでね。
明らかに準備不足です。本来ならランニングやストレッチで体をほぐし、しっかりキャッチボールをやるべきでしょ。
しっかり肩を温めてから全力投球するのは、少年野球でもプロでも同じなんです。そうしないと肩や肘を故障するリスクが高まりますからね。
この場合、よりによって外野ノックですから、ボールを捕った子は必然的に遠投になってしまい、誰でも全力投球になってしまいます。
個人的に腹が立ったのは、コーチが楽しそうに打っていたことです!
ハッキリ言わせてもらえば、おそらくこのコーチは野球経験が浅い人です。だって下手でしたから。
外野ノックって意外と難しいんですよ。狙った所へフライを打ったり、狙った回転をボールにかけたりするのは技術がいりますからね。
でも、このコーチがやっているのは『自分のバッティング練習』なんです。本人はそんなつもりはないかもしれませんが、少なくとも私の目にはそう映りました。
子供達はボールを追いかけるのは楽しいですら、変なところへ打たれた打球でも、文句を言わずボールを拾ってくれます。
こんなのは練習とはいえませんし、子供の肩・肘を壊すリスクを一切考慮していないコーチの行動には目を疑いました。
指導者は野球の楽しさを教えて欲しい
少年野球の監督やコーチはほとんどボランティアであり、なり手が少ないのが現状です。
だからこそ、少年野球の監督・コーチを引き受けてくれる方は野球の技術に詳しくなくてもいいんです。
でも指導者になったからには、子供に野球の楽しさを教えてあげて欲しいと思います。
子供が野球の楽しさを知り、野球に興味を持ったら、勝手に上手くなるんです。
それを『そんなこと知っていて当然だろ!』的な恫喝をしたって、選手が萎縮するだけでしょ?
こんなことをやっていれば野球が嫌いになってしまいますよ。
準備運動不足も同じ。子供だって肩や肘を壊すことはあるんです。
せっかく野球に興味を持った子供が、肩や肘を壊して野球を諦めることになったらどうしますか?
こんなことは野球だけでなく、スポーツの基本でしょ。
私が見学させてもらったチームは確かに強豪少年野球のチームかもしれません。
しかし、このような指導を見た私はがっかりした気持ちになりました。
このチームに限らず、このような指導をする監督・コーチって意外と多いんですかね・・・