はじめに
多くの指導者は打撃指導で
大きなフォロースイングになるように!
と言います。
間違っているわけではないのですが、その目的や根拠を理解することが大切であり、やみくもに大きなフォロースイングをすれば良いわけではありません。
この記事では、
- 良いフォロースイングとその理由
- 悪いフォロースイングとその理由
について解説します。合わせて、以前書いた記事(バッティングで打球を遠くに飛ばすコツ④~インパクトの衝撃に負けない打ち方~)で取り上げた、インパクトの衝撃に負けない打ち方とフォロースイングの関係についても解説します。
フォロースイングは打球の強さに寄与しない
記事『バッティングで打球を遠くに飛ばすコツ③~インパクトで押し込むとは?~』で書いた通り、インパクトの際にボールとバットが接触している時間と、人間の反応時間の関係から、フォロースイングは打球の強さには寄与しません。
しかし、フォロースイングはスイングの良し悪しを表しています。
良いスイングは、必然的に力強く大きなフォロースイングになります。同様に、悪いスイングは、弱弱しく小さなフォロースイングになってしまいます。
ですので、悪いフォロースイングはそれ自体が問題であるわけではありませんが、そうなってしまう原因がどこかに潜んでいると言うことです。
悪いフォロースイング
まず、悪いフォロースイングについて説明します。
下の絵をご覧ください。
このようにインパクト前後で、捕手側の手(右打者なら右手、左打者なら左手)を被せてしまうのは、悪いフォロースイングです。
なぜなら、上のようにすぐに右手を被せてしまうスイングの場合、その瞬間にインパクトしてしまうとインパクトの衝撃に負け(右手がアンコックしているため)、力強い打球が打てないからです。
このようなスイングをすると、右手を早く被せるのでフォロースイングはおのずと小さくなってしまいます。
コンパクトに振るな!
相手投手の球速が速かったりすると、チームの監督から
コンパクトに振っていけ!
と言われたりしませんか?
どの動作を、どのようにコンパクトにするのか具体的に説明なく。
もっと酷いところになると、日常から右打者なら右手を、左打者なら左手を被せる打ち方を練習しているとこもあります。
それがコンパクトなスイングだと。
甲子園に出てくるような強豪高校の主力打者でも、捕手側の手を被せて、小さなフォロースイングになってしまう選手は沢山いるんです。
バッティングにおいて、必要な動作を省く訳にはいきません。
『コンパクト』を時簡短縮的な意味で言ってるとするなら、アプローチが全然間違っているんですよね。
始動してからは、省ける動作など無いんです。本当に省ける動作が存在するなら、それは最初から無駄な動作なんです。
では、どうすればよいのか?
始動を早めるんです!
始動を早めたら逆に打ち辛くなると思う方は、根本的な考え方を『バッティングにおけるタイミングの合わせ方と効果的な練習方法』に書きましたので、こちらを読んで頂ければ、ご理解して頂けると思います。
良いフォロースイング
次に良いフォロースイングを説明します。
下の絵をご覧ください。
右手を被せず、アンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持します。
そして限界まで両腕が伸びてから、右手をアンコックさせてフィニッシュに移行させれば良いのです。
そすれば意識しなくとも、
誰でも大きなフォロースイングになる
のです。
何度も言いますが、インパクトの際にボールとバットが接触している時間と、人間の反応時間の関係から、人はインパクトした時間を正確に認識できません。
だからこそ、インパクトの衝撃に負けない手の形、すなわち、アンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持することによって、強打できるポイントの範囲を広げてあげるべきなんです。
相手投手はタイミングを外すように攻めてきます。打者はそれに対応せねばなりません。
しかし、どんなときでも理想のポイントで打てる訳ではありません。多かれ少なかれポイントをずらされることの方が多いはずです。
だからこそ、若干ずれたポイントでも強打できる状態を作れた方が有利なのです。
悪いフォロースイングのように、すぐ右手を被せてしまえば、予想より緩いボールに対しては常にこねるバッティングになってしまいます。
運よく芯を食ったとしても、強打できませんので、打球は遠くに飛び辛くなってしまいますからね。
押し込む動作?
私は、アンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持する動作を、選手が『右手で押し込む動作』と感じると考えています。やってみれば分かりますが、まさに押し込む動きになりますからね。
もちろん、何度も書いている通り、インパクトの瞬間に押し込むことは不可能です。
しかし、インパクトの衝撃に負けない打ち方が出来たとき、すなわち、上に挙げた腕の動作や、インパクトの衝撃に負けず力強い打球を飛ばした事実から、選手が『押し込んだ』と感じるんだと考えています。
芯で捉えた打球が思いのほか伸びず普通の外野フライに終ったり、フェンスを越えると思った打球がフェンス手前で失速し超えなかったりする場合、インパクトの衝撃に負けている可能性が高いです。
また、低めや高めなど特定のコースを打ったときに打球が飛ばないと感じる人は、そのコースの打ち方が悪くインパクトの衝撃に負けているかもしれません。
もちろんバッティングは単純ではありませんので、色々な要因があるとおもいますが、今一度インパクトについて見直して頂くきっかけになれば幸いです。
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