リードの目的って何?
野球におけるキャッチャーの役割はいくつかありますが、その中でも重要な仕事として『リード』があります。
このリードの考え方は難しいですし、学生野球においてリードを指導できる人は少ないと思います。
でも今の時代はネットがありますので、調べればいくらでも出てきますね。
私もたまに見るのですが、結構一般的な説明ばかりです。
一般的って言うか、細部に拘りすぎているような感じですかね。
例えば、『内角高めに速いストレート&外角低めに緩い変化球を投げさせる』なんかは、よく書かれています。
別に間違っていないと思うのですが、万人に通用するわけではありません。
逆に言えば『万人に通用するリードなどない』が正解であり、リードは結果論となります。
ではリードは関係ないかと言うと、そうとは思いません。
ただ、『聖杯探し』になってしまうと、いつまでたっても迷路にさまようだけです。
まず、リードの目的って何でしょうか?
私は『試合を勝利に導くための道筋』と考えています。
個々の配球だけでは、試合に勝てない
先程、『試合を勝利に導くための道筋』だと書きましたが、私は『打者個々を打ち取ることで、その先に勝利がある』のではなく、『勝利から逆算して、必要な打者を打ち取る』と考えています。
簡単に言えば、ある程度フォアボールやヒットを打たれることを最初から許容することが必要なんです。
さらに言えば、相手を打ち取る確率が高い配球=ベストな配球、ではないんです。
例えば、学生野球において、大会はほとんどトーナメント形式です。
優勝するには何試合も勝つ必要がありますが、エースと肩を並べる控え投手が揃っているチームなんて稀です。
勝ち進めばエースが投げるしかない状況になっていくんです。
ですので、少ない投球数で勝つ試合も必要になるんですよね。
確かに、目の前の試合に負けては意味がありませんが、9番打者に4番打者と同じような配球(球数を多くじっくり責める)をやっていては、遅かれ早かれエースが潰れます。
私は1試合単位でも同じように考えていました。
『試合に勝つには』と考えて、逆算するんです。
経験やデータが増えれば、精度は高まる
まず、試合前に『自分のチームが勝つには、得点はこのくらい入るだろう』とイメージします。
そのためには相手投手を観察する必要がありますし、自分のチームの打力と調子を把握せねばなりません。
自分のチームの打力を考えて、相手投手から5点以上は取れると思ったら、2点~3点は相手に取られてもよい余裕度が生まれます。
逆に得点することが難しい投手が相手であれば、1点も取られないようにする配球が序盤でも必要になります。
試合前にそれらを客観的に判断し、5対2くらいで勝てるかな?あるいは1対0くらいのスコアでないと勝てないな、とか考えておくのです。
もちろん、試合前に予想したことなんて当たるとは限りません。
ですので、試合が進む毎にシナリオを書き換えていきます。
点が取れないと思っていた相手投手の調子が悪くて、予想以上に得点でき、余裕度が生まれる場合もあれば、思った以上に得点が取れず、余裕度がない場合もありますからね。
そのような環境の中で、投手に投げさせるボールを取捨選択し、リスクを調節しなくてはいけません。
このようなことは、いきなりやろうとしても難しいので、普段から相手や自分のチームを観察することが必要です。
最初は精度が低くても、経験やデータが増えれば精度は上がると思っています。
今回は具体的なリードの内容を書きませんでしたので、次回(キャッチャーのリード、具体的な配球例を紹介します)に書きたいと思います。