強打者がかもしだす雰囲気
野球をやっているときや、試合を観戦しているときに、
何となく、このバッターは打ちそうな雰囲気を持っているな
何か、このバッター打たなさそう・・・
と感じることってありませんか?
そういった感覚は大体正しいことが多く、強打者ほど打ちそうな雰囲気を持っていますし、打てない打者は打てない雰囲気を仕草としてだしてしまいます。
私は高校・大学でキャッチャーをやっていましたので、そういった打者のたたずまいを多く観察してきました。
今回の記事は、打ち方やスイングの良し悪しではなく、打席への入り方や、投球と投球の間に行う仕草やクセによる強打者の特徴について説明します。
また、それを利用して『打席で強打者に見せるコツ』を教えたいと思います。
強打者が持つ雰囲気の正体
最初に結論を書きます。強打者が持つ雰囲気の正体は以下の通りです。
- 相手をよく見る
- 構え遅れをしない
- 打席で必要最低限の動作しかしない
打者は攻撃的な存在だと思われがちですが、実際は受身です。投手が投げるボールにタイミングを合わせたり、様々な球種やコースに対応せねばなりませんからね。
強打者ほど『投手に投げさせている』ような感じで打つことができ、周囲の人に受身で打っている感じを与えません。
野球特有の言葉で言えば、『いい間で打席に入っている』となります。
強打者ほど自分の打撃技術に自信がありますから、打席で相手に集中することができます。
相手に集中できると相手をよく見ることができますので、構え遅れすることもありません。
相手をよく見ているから、構え遅れをしない範囲で素振りをしたり、自分のルーティーンを素早くすることもできるのです。
投手が自分のペースで投げているつもりでも、打者が完全にアジャストしていると、打者が作り出しているタイミングに見えるんです。
そういったことはバッテリーも感じますので、いかにも打ちそうな打者に感じるものなんですよね。
打てない打者がやってしまう仕草
強打者とは対象的に、打てない打者がやってしまう仕草があります。
それは自分の技術に対する不安からくる素振りです。そういった素振りは見ればすぐに分かります。
例えば、こんな仕草です。
- 体が突っ込むクセのある打者が、それを防ぐために投手側にステップした足に過剰な力をかけて素振りをする
- 脇が開くクセのある打者が、脇を締めることを強調したスイングで素振りをする
- アッパースイングを矯正したい打者が、極端なダウンスイングの素振りをする
- 素振りをやっているときの視線は地面で、投手を見ていない
内容はともかく、投手を見ている時間が少ない打者は、相手に集中する以前に自分のバッティングに対し自信がありません。
何かを矯正したい打者が極端なスイングの素振りをやる理由は、自分に言い聞かせる目的もありますが、ベンチに見てもらう目的もあります。
自分は悪いクセがでないように気をつけていますよ・・・とね。
こういったことは、打席で1ミリも良い効果はもたらしません。むしろ相手に立ち遅れる原因になってしまいます。
だから、相手投手に一方的に攻め込まれることが多く、技術的なこととは違うところですでに負けているんです。
こんなことは時間の無駄であり、その分投手を見る時間に割くべきなのです。
戦うのは相手ですから、相手をよく見ていない選手は良い成績は残せません。打者であれば、打席に入るタイミングから勝負が始まっているのです。
勝負が始まったら、これまでの練習を信じて思いっきり打つことに集中する。
こういった考えを持てば、自然と相手を見る時間が長くなるんです。
強打者に見せるコツ
強打者に見せるためには、自分のペースで打席に入ることです。そして自分のペースで投手に投げさせるのです。
そのためには、以下のことをやればいいのです。
- 相手投手がサインを見ているとき、バットを肩に乗せリラックスした状態で仁王立ちする
- その間はジーっと投手を見つめる
- 投手がサインを見終わったら、打つ構えに入る
打てない人ほど自分に自信がなく、それを打ち消すために無駄な動作を繰り返します。
強打者に見せるためには、その逆をすれば良いのです。
打席に入ったら、一切無駄な動きをせず、投手を睨みつける。これだけでバッテリーは怖さを感じるものなんです。
プロとアマチュアの違い
プロ野球は興行ですので、打者はじっくりと打席に向かうことができます。
< プロ野球の場合 >
- 選手がアナウンスされる
- 球場に拍手やブーイングが起こる
- ゆっくりと打席に向かう
- 足場を慣らし、自分のペースで投手に対峙する
- それが終ったらキャッチャーがサインを出す
- 打者が構えたらピッチャーがボールを投げる
それに対し、アマチュア野球はこうはいきません。
< アマチュア野球の場合 >
- 前の打者が打つ
- そのバットを拾い、バットボーイに渡す
- そそくさと打席に入る
- 急いで足場を慣らして構えに入る(ゆっくりしていると審判に注意される)
- ピッチャーは既にサイン交換を済ませており、いきなり投げてくる
こんな感じです。
プロ野球選手だと、間を取るためにタイムをかけることがよくありますが、アマチュア野球ではそうはいきません。
目的の無いタイムを何回も取っていると、審判に『早く打席に入りなさい』と言って注意されますからね。
それだけに、打席のでの間の取り方はアマチュア野球の方が難易度が高いと言えます。
私はキャッチャーでしたので、こういったことを逆手に取るようにしていました。
まごまご足場を慣らしている打者がいたら、さっさとサイン交換を済ませて、打者が構えたらピッチャーに投げさせる、みたいな感じで。
投球と投球のインターバルも同じ。無駄に打席を外す打者なら、サイン交換をすぐ済ませ、投手に早く投げさせます。
ほとんどの打者は構え遅れをするので、見逃すことが多いんです。
まとめ
- 強打者ほど無駄な動きがない
- 強打者ほど相手をよく見ている
- 打てない打者ほど打席で余計な素振りをする
こうやって書くと、打てない打者が『自分は強打者だぞ』と虚勢を張るように感じるかもしれませんが、実際は強打者なら必ず通る道なんですよね。
あと、同じような実力を持った人でも、本番に強いタイプと弱いタイプっているじゃないですか。
これも、こういった考え方による影響も大きいんですよね。
『練習でやることはやったんだ』と思い込ませて、試合になったら相手だけを見ている選手の方が力を発揮しやすいです。
それに対し、自分の課題を試合に持ち込ませて、そのことで頭が一杯の選手は試合で力を発揮し辛いです。
何度も言いますが、戦うのは相手。相手を見なければ、勝てる勝負も勝てなくなって当然。
練習は謙虚に、でも試合は相手を見下ろしくらいで丁度いいんです。それによって相手より優位に立てれば、ヒットを打てる可能性は必ず高まります。