この記事の目次
はじめに
記事『バッティングで打球を遠くに飛ばすコツ③~インパクトで押し込むとは?~』で、バッティングのインパクトのときに、ボールがバットに当たったと認識してから押し込むことは不可能なことを解説しました。
その一方、打者が感じる『押し込む』感覚は存在し、その正体は『インパクトの衝撃に負けない動作』が出来たときであることも解説しました。
今回はその続きです。
インパクトの衝撃に負けないようにするためには、打者の捕手側の手を『裏突き』にすれば良いのですが、具体的に
- インパクトを迎えたときの手の動きとその良し悪し
- 悪い形になる原因とその対策
をまとめました。
手の動きと用語
具体的な『裏突き』の動作を説明する前に、手の動きと用語を説明したいと思います。
コックとアンコック
コック
親指の背面の方へ曲げる動作をコックと言います。
バッティングにおけるフォワードスイングの際、捕手側の手(右打者なら右手、左打者なら左手)をコックさせます。
そうすることにより、バットのヘッドを残したまま右打者なら右肘、左打者なら左肘を先行して抜くことができ、慣性モーメントを小さくすることができるのです。
そうすると、体にバットが巻きついたようなスイングができ、よりスイングスピードを速めることが可能となります。
この辺の話は、過去の記事『バッティングで打球を遠くに飛ばすコツ②~腕の使い方~』に詳しく書いてありますので、興味ある方はお読み下さい。
アンコック
コックした手を解き、手刀の方へ曲げる動作をアンコックと言います。
バッティングではフォロースイングに入るとき(すなわち両手を返すとき)、捕手側の手はアンコックすることになります。
掌屈と背屈
掌屈
手のひらの方へ、手を折り曲げる動作のことを掌屈と言います。
ボールを投げる際、リリースする瞬間の手の動きをイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。
この動作により、ボールにバックスピンをかけることができます。
背屈
手の甲の方へ、手を折り曲げる動作のことを背屈と言います。
ボールを投げる際、リリースするまでの手の動きです。
これらは、野球をする上で重要な動きとなるので覚えておいて下さい。
インパクトの衝撃に負ける悪い打ち方
インパクトの衝撃に負けない打ち方を解説する前に、インパクトの衝撃に負けてしまう悪い打ち方を説明します。
アンコックしてインパクトする
結論から書きますが、インパクトのとき捕手側の手をアンコックしてしまうとインパクトの衝撃に負け、強い打球を打つことが難しくなります。
理由はインパクトの衝撃を手首で受けてしまうからです。
例えば、素手で壁を殴ることをイメージしてみて下さい。このとき、手をアンコックして殴ったらどうなるでしょう?
この場合、壁を殴った衝撃で手首を痛める可能性が非常に高いです。理由は手首が支点になってしまうからです。
バッティングも同様で手をアンコックしてしまうと、インパクトの衝撃を手首で受けてしまうと、その衝撃に負けやすい状態になってしまうのです。
アンコックしてしまう原因
では、次に捕手側の手がアンコックしてしまう原因を説明します。
上の絵のように、肩の開きが遅いと捕手側の手がアンコックしてしまいます。
インパクトするために、打者はバットを投手に正対(投手と本塁を結んだラインとバットの角度が90°)させる必要があります。
しかし、肩の開きが遅くなってしまうと、その回転不足を補うために手で必要な角度を作ってしまいます。
その結果、捕手側の手をアンコックしてしまうのです。
この打ち方はいわゆる『手打ち』状態であり、非常に悪い打ち方です。
さらに肩の開きが遅い人は同時にドアスイングになりがちです。
ですので、肩の開きが遅い=始動が遅いスイングは『百害あって一利なし』であることを認識して下さい。
ドアスイングについては、過去の記事『ドアスイングの根本的な原因と改善方法』に書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
対策
肩の開きが遅くなってしまう原因は、始動が遅いことに起因しています。
ですので、始動を速くすることが有効な対策となります。
インパクトの衝撃に負けない打ち方
次にインパクトの衝撃に負けない打ち方を解説します。
下の絵は理想的なインパクトです。肩を十分開くことにより右手がアンコックせず、理想的なインパクトになっています。
右手を見ると綺麗な『裏突き』になっていることが分かると思います。
この状態ならインパクトの衝撃を手首だけでなく腕でも受けることができ、その結果強い打球が打てることになります。
インパクトの良い例と悪い例
写真①と写真②をご覧ください。
どちらも低めの球をインパクトしている瞬間です。
どちらが良い打ち方で、どちらが悪い打ち方か分かりますか?
写真①
写真②
ハイ、もうお分かりですね!
インパクトで背屈するのもダメ!
インパクトのとき、捕手側の手を背屈してはいけません。
この理由もアンコック同様、インパクトの衝撃を手首で受けてしまうからです。
背屈してしまう原因
インパクトの際に、捕手側の手が背屈してしまうのは
レベルスイングが正しい!
と思っている人に多いです。
※ここで言うレベルスイングとは地面に対して水平であるスイングのことです。
高めのボールをレベルスイングで対応しようとすれば、捕手側の手を背屈しなくてはいけません。
写真③をご覧ください。
写真③
右手が背屈してしまっていることが分かると思います。
これは悪い打ち方です!
でも、こういったスイング(レベルスイング)を逆に推奨する指導者は、案外多いのではないでしょうか?
しかし残念ながら、高めのボールを背屈してしまうとインパクトの衝撃を手首で受けてしまい、打球を遠くに飛ばし辛くなります。
その結果『差し込まれた』状態になってしまうのです。
対策
高めのボールに対し、捕手側の手を背屈せず対応するには
ヘッドを立てて打つ
ことです。
地面に対し水平に振るレベルスイングに拘ってしまうと、インパクトの衝撃に打ち勝つ形は作れません。
まとめ
インパクトの衝撃に負けない打ち方は、打球を遠くに飛ばすためには身につけなくてはいけない技術です。
そのためには以下のことを意識すれば良いのです。
- 高めのボールに対してはヘッドを立てる
- 低めのボールに対してはヘッドを下げる
- 捕手側の手をアンコックさせない
- 捕手側の手を背屈させない
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