勝敗を決めることもあるベースコーチ
野球においてベースコーチは重要な仕事です。
ベースコーチは、攻撃時に一塁側および三塁側のコーチスボックスにいて、塁上の選手にアドバイスを送る役目を担います。
簡単に言えば、走者に『進め』『止まれ』と指示することが大きな仕事です。
その他にも、ボールがどこにあるかを走者に知らせたり、走者にスライディングする指示を出したりします。
得点に絡むことが多いベースコーチですので、その判断によっては試合の勝敗を決めることもあります。
学生野球では三塁ベースコーチは固定、一塁ベースコーチは試合に出ている選手が打順の巡りを考慮して担当することが多いですね。
一塁ベースコーチは一塁走者や打者走者を担当するだけなので、さほど重要な仕事ではないですが、三塁ベースコーチは得点圏走者(二塁・三塁走者)を担当するので、とても重要です。
固定される三塁ベースコーチ
実は私、ほとんどベースコーチをやったことがありません。
中学は投手、高校大学は捕手をやっていたからです。
基本的に投手と捕手はベースコーチにつくことは無いんですよ。
投手は体力の温存や、肩慣らしのキャッチボールをやる必要がありますし、捕手は防具をつける時間と手間があるからです。
重要なポジションである三塁ベースコーチは固定するチームが多いと思います。
これは経験を積ませないと、正確な判断が下せないからです。
私も三塁ベースコーチとして的確な判断を下せかというと、正直自信はありません。
ベンチから客観的に見るのと、現場で責任を持って判断するのは全然違います。
私の高校でのチームでは、ある時期になると監督が三塁ベースコーチを任命するんです。
色々な実績を踏まえての任命ですが、選手からすれば複雑な瞬間でもあります。
なぜなら、『お前はレギュラーにしない』と通告したと同じですからね。
グランドで汗を流して、試合に出て活躍したい。その思いはみんな同じだと思います。
高校野球でも、最後の夏の大会までレギュラーの可能性を信じ、練習に打ち込むわけですが、コーチ選任となればモチベーションも下がるでしょう。
この辺は難しいと思います。
もちろん全く試合にでるチャンスが無い訳じゃありませんが、三塁ベースコーチという性格上、試合に出るチャンスは確実に減るでしょう。
それでも、三塁ベースコーチに任命されるということは、冷静な判断力を買われている訳ですから、監督から評価されていることは間違いありません。
三塁ベースコーチは捕手に似ている?
三塁ベースコーチの仕事は、走者に適切な指示を出すことだと書きましたが、この『適切な指示』はとても難しいです。
特に、二塁走者がヒットで本塁に突入するかしないかの判断は、
・走者の足の速さ
・相手野手の肩の強さ
・相手の守備位置
・グラウンド状況
を考慮して決めます。
刻一刻と変化する戦況を把握する必要があるのです。
さらに試合の流れを読むことも必要です。
例えば、序盤から相手にリードを許している展開では、憤死を避け、出来るだけ無理をさせないようにします。
また、打順が上位に向かっている場合も同様に、無理に突入させることを避けることを優先させます。
逆にリードしている展開や、打順が下位に向かっている場合、逆転して押せ押せの流れでは、ある程度リスクがあっても突入させるのも有りですね。
ある意味、捕手のように洞察力が要求されるポジションと言えると思います。
また、捕手に似ている点としては、その重い責任に対し賞賛されることが少ないことです。
プロ野球でも『三塁ベースコーチの判断が勝因だ』などと言われることはほとんどありません。
セーフになればランナーが賞賛されます。
逆に、判断が悪く、憤死を招いてしまえば非難はされます。
プロ野球などでは『壊れた信号機』などと揶揄されることもあります。
捕手も同様で『リードが冴えていたので勝てた』とは言われません。
言われる場合は確固たる地位にいる名捕手くらいですかね。
でも『リードが悪いから打たれた』と言われることは多いです。
捕手も三塁ベースコーチも大きな責任の割りに、褒められることが少ないポジションです。
ただ、捕手の場合は試合に出ている以上、打席に立ちますので、バットで脚光を浴びる機会がありますが、三塁ベースコーチは脚光をあびる機会はほとんどありません。
それでも、三塁ベースコーチには
・試合を観察する力
・相手選手の能力を読み取る力
・自分のチームの戦力を見極める力
・試合の流れを読む力
など野球における『見る目』が要求されることは間違いありません。
そして、直接プレーによって勝敗に影響を与える立場では無いですが、間違いなく勝敗に影響を及ぼす重要な脇役であることは間違いありません。