【2019年】中日ドラゴンズをセイバーメトリクスで戦力分析!2020年Aクラスの可能性はあるのか?

中日ドラゴンズ
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2019年は5位に終った中日ドラゴンズ

2019年の中日ドラゴンズは昨年(2018年)同様、5位に終わり、2013年から続くBクラスは7年連続となってしまいました。

優勝した巨人は別格としても、シーズン終盤までDeNA・阪神・広島とAクラスを争い、惜しくも競り負けた中日。来年、2020年はAクラスに入りクライマックスシリーズに進出することを期待するドラゴンズファンも多いのではないでしょうか?

この記事では、2019年中日ドラゴンズの戦力をセイバーメトリクスで分析し、2020年にAクラスに入る可能性を探りつつ、必要な戦力などを見極めたいと思います。

 

2019年セ・リーグ、チーム成績分析

まずは、2019年セ・リーグのチーム攻撃力を分析します。

チーム攻撃力分析

< 2019年 セ・リーグ順位表 >

チーム試合勝率
巨人14377642.546
DeNA14371693.5075.5
阪神14369686.5046.0
広島14370703.5006.5
中日14368732.4829.0
ヤクルト14359822.41818.0

< 2019年 セ・リーグチーム成績表1 >

チーム得点失点本塁打盗塁打率防御率
巨人66357318383.2573.77
DeNA59661116340.2463.93
阪神53856694100.2513.46
広島59160114081.2543.68
中日5635449063.2633.72
ヤクルト65673916762.2444.78

中日はチーム打率が1位、チーム防御率も3位と悪くない数字です。その一方、チーム本塁打とチーム得点が5位と悪く、この辺に問題がありそうですね。

では、セイバーメトリクスでチーム攻撃力を詳しく見てみましょう。

< 2019年 セ・リーグチーム攻撃力比較表 >

チーム四球OPSwRAAwSBUBRBsR
巨人540.75869.75.5-10.3-4.8
DeNA449.713-14.7-3.1-6.7-9.8
阪神447.681-58.32.4-1.60.8
広島479.716-1.8-2.93.10.2
中日349.698-31.0-2.45.12.7
ヤクルト570.72835.50.64.24.8
< OPS >
出塁率と長打率を合わせたものであり、OPSが高いほど得点は多くなる。
< wRAA >
打撃得点。平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点。
< wSB >
盗塁得点。盗塁によりどれくらい得点に貢献したかを表す指標。
< UBR >
進塁得点。盗塁以外の走塁でどれくらい得点に貢献したかを表す指標。
< BsR >
走塁得点。wSBとUBRを合わせたものであり、走塁全体でどれくらいの得点増加をもたらしたかを表す指標。

 

中日は相手からもらった四球が349とリーグ最小であり、OPSも.698(5位)と低くなっています。ちなみに、上の表にはありませんが、チーム出塁率も.317とリーグ5位と低いです。

すなわち、出塁する打者が少なく、進塁を稼ぐ打者が少ないといった傾向があり、それが得点力の弱さを引き起こしています。

打者の打撃貢献度を示しているwRAAが-31.0(5位)と、リーグワーストの阪神(wRAA -58.3)とともにセ・リーグの中でもかなり低く、得点能力に乏しいことを示しています。

このことから2019の中日ドラゴンズの攻撃力は、

  • 長打を打てる打者が少ないため、相手投手は怖がらずストライクで攻める
  • その結果、相手からもらえる四球も減り、出塁率も低くなる
  • 多く勝負されることが増える分ヒットが増えるものの、長打の割合が低いため得点力が上がらない。

と言えるでしょう。

 

中日は盗塁が63個(リーグ4位)と少ないですが、BsR(走塁得点)は2.7(リーグ2位)と優秀です。

この理由はUBR(進塁得点)が高く、低いwSB(盗塁得点)をカバーしているからです。簡単に言えば、得点に絡む盗塁は少ないが、盗塁以外の進塁で得点を稼ぐ機会が多いとなります。

全体的に走塁の意識が高く、1つでも先の塁を目指している姿勢が結果になっているとも言えますね。

 

この点に関して、面白いのは巨人の走塁意識の低さが読み取れる点。

優勝した巨人は盗塁数が83個とリーグ2位、wSB(盗塁得点)も5.5とダントツの1位。足を絡めた攻撃が得意に見えますが、UBR(進塁得点)がリーグワーストの-10.3であり、先の塁を目指す走塁ができていません。

この辺りが改善されると、ただでさえ攻撃力の高い巨人はさらに得点力が増し、さらに強くなるでしょうね。

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チーム守備力分析

次に、2019年セ・リーグのチーム守備力をセイバーメトリクスで分析します。

< 2019年 セ・リーグチーム守備力比較表 >

チーム失策数守備率ARMDPRRngRUZR
巨人72.9870.2-6.84.70.5
DeNA65.988-0.9-1.2-17.2-15.4
阪神102.9828.02.3-32.5-28.3
広島87.984-2.07.2-9.1-8.8
中日45.9929.78.418.243.0
ヤクルト97.982-8.03.2-26.7-40.9
< ARM >
送球貢献。捕殺数だけでなく、走者の進塁をどれだけ抑止したかを表す指標。
< DPR >
併殺貢献。併殺が期待される状況で、どれだけ併殺を完成させたかを表す指標。
< RngR >
守備範囲。守備範囲の広さを表す指標。
< UZR >
平均的な野手が守る場合に場合に比べて、どれだけチームの失点を減らしたかを表す指標。

 

中日の失策数45は、2004年に中日が樹立したセ・リーグ最小記録に並びタイ記録となりました。さらに守備率.992はセ・リーグ新記録です。

そんな優秀な守備力は、セイバーメトリクスでも証明されています。

ARM(送球貢献)、DPR(併殺貢献)、RngR(守備範囲)が全てリーグ1位であり、堅実な送球に加えて広い守備範囲だったことを表しています当然、UZRもダントツのリーグ1位(43.0)であり、他の5球団に比べて高い守備力でチームの失点を多く防ぎました。

 

失策の多さが話題になった阪神ですが、ARM(送球貢献)やDPR(併殺貢献)はプラスであり、堅実な送球が多かったことを表しています。しかし、RngR(守備範囲)が非常に悪く、全体的に守備範囲が狭い野手陣だったことを示しています

ヤクルトは話題になった阪神の陰に隠れていますが、実は阪神より守備が悪いことが分かります。送球ミスも多く守備範囲も狭い守備陣が、弱い投手陣の足をさらに引っ張った結果になりました。

巨人・広島は中日に比べれば低い数値になっていますが、ヤクルト・阪神に比べればまともであり、強力な打撃力を考えればバランスの取れた布陣とも言えますね。

チーム投手力分析

最後に、2019年セ・リーグのチーム投手力をセイバーメトリクスで分析します。

< 2019年 セ・リーグチーム投手比較表 >

チーム防御率失点FIPtRA
巨人3.775734.284.32
DeNA3.936114.134.15
阪神3.465663.903.82
広島3.686014.354.33
中日3.725444.334.37
ヤクルト4.787394.324.62
< FIP >
守備から独立した防御率。本塁打以外の打球の部分は無視し、被本塁打・奪三振・与四死球から算出。運の要素を取り払い、より実力に近い数値がでる。
< tRA >
真の失点率。守備が平均レベルと仮定して公平に評価した失点率を表す。

 

中日は防御率3.72でリーグ3位、失点は544でリーグ1位でまずまずの投手力ように見えます。しかしセイバーメトリクスで分析すると、少し違った印象を受ける結果になりました。

FIPが4.33でリーグ5位、tRAが4.37で同じくリーグ5位。FIPは守備に頼らず投手の力でどれだけアウトを取れるかの指標ですので、中日はリーグ平均以下の投手力であると言えます。

tRAも同じように、守備による影響を少なくした指標ですので、やはり中日がリーグ平均以下の投手力であることを示しています。

このことから、2019年の中日ドラゴンズは失点がリーグ最小の544だったものの、高い守備力で防いだ失点が多くあり、決して高い投手力を保持しているわけではないことが判ります。

 

セ・リーグ全体を見渡すと、優勝した巨人も強い投手力があるわけではありません。むしろ、巨人・DeNA・広島・中日は比較的同じような投手力と言えるでしょう。

ヤクルトは防御率だけ見れば圧倒的に悪い成績ですが、FIP・tRAを見ると圧倒的に悪いわけではありません。すなわち圧倒的に悪い防御率は、すべて投手陣の責任とは言えず、守備に足を引っ張られている影響が大きいのです。

阪神はセ・リーグの中で圧倒的な投手力でした。FIP・tRAともにリーグNo,1ですし、守備の悪い中、防御率がそれほど悪化していないのは守備に頼らずアウトを取れる=力のある投手が多い証拠でしょう。

ちなみに阪神の場合、『攻撃力が弱く・守備力も低い野手陣を力のある投手陣が引っ張っている』状態ですので、野手の補強・成長によっては大きくチーム成績が向上する可能性が高いと言えます。

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2019年中日ドラゴンズ野手成績分析

2019年中日ドラゴンズの野手成績についてセイバーメトリクスで分析してみます。

レギュラークラス(打席数300以上)

< 2019年 中日ドラゴンズ野手成績1 >

選手打席打率打点OPSwRAAwRCwRC+
大島623.312345.75612.380.8117.9
ビシエド594.3151893.87030.495.7146.6
京田574.249340.615-18.045.171.4
阿部484.291759.7424.557.7108.4
高橋471.293759.7799.761.5118.7
平田407.278832.7758.253.0118.4
福田352.2871866.87717.353.0144.6

< OPS >
出塁率と長打率を合わせたものであり、OPSが高いほど得点は多くなる。
< wRAA >
打撃得点。平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点。
< wRC >
創出得点。その打者が生み出した総得点を表す指標。
< wRC+ >
打撃傑出度。打席当たりの得点創出の多さを平均的な打者を100とした場合のパーセンテージで表す指標。

※wRAA、wRC、wRC+は当サイトの独自計算値であり、サイトによっては異なる計算値になることもある。これは得点期待値表の違いや小数点何桁まで使うかといった違いにより、算出に用いる係数が変わるためである。従って、これらによって分析結果に大きな影響を与える訳ではありません。

 

ビシエドはwRAA(打撃得点)が30.4、wRC(得点創出)が95.7と、最もチーム得点に貢献した選手でした。wRC+(打撃傑出度)が146.6であり、リーグでも優れた打者と言えるでしょう。上の表には記載していませんが、守備指標であるUZRが3.9でリーグ2位(一塁手部門)、守備でもチームに貢献しています。

大島洋平はwRC(得点創出)が80.8とビシエドに次いで高く、最多安打のタイトルを獲得するなどチーム得点に大きく貢献しています。wRAA(打撃得点)が12.3、wRC+(打撃傑出度)が117.9と飛びぬけて高いわけではありませんが、全試合出場し多くの得点機会を提供したと言えます。それに加え大島の場合、走塁での貢献が大きく、BsR(走塁得点)が9.5とリーグNo,1です。

気になる点はUZRが-11.4でリーグ最下位(中堅手部門)であり、ゴールデングラブ賞を受賞したとはいえ守備が衰えている可能性があることです。来年(2020年)は35歳になりますし、今後は守備の衰えを抑えつつ、高い打率を維持できるかがポイントになるでしょう。

高橋周平はwRC(得点創出)が61.5とチーム3番目に高い選手でした。2年連続規定打席に到達しただけでなく、ベストナイン・ゴールデングラブ賞に輝き、シーズン序盤~中盤は首位打者争いに加わるなど飛躍の年になりました。その一方、wRAA(打撃得点)が9.7、wRC+(打撃傑出度)が118.7であり、セイバーメトリクス的にはまだまだ並のレギュラー選手としての評価となります。UZRも6.0と優秀ですが、サードというポジションを考慮すると更なる打力アップが望まれます。

阿部寿樹は中日ドラゴンズの中で今年最もブレイクした選手のひとりです。wRC(得点創出)が57.7とチーム4番目に高く、他の指標も高橋と同等の成績です。打撃だけを見れば高橋同様、並のレギュラークラスですが、UZRが10.7とリーグNo,1(二塁手部門)で守備貢献が大きく、打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価したWAR(勝利貢献値)は4.0と非常に高く、中日ではビシエドの4.2に次いで勝利に貢献した選手でした。

福田永将は怪我で戦列を離れることがあったものの、出場した試合は高い打力を見せました。規定打席未達とはいえ、OPSはビシエドより高くチーム1位ですし、wRAA(打撃得点)が17.3、wRC+(打撃傑出度)が144.6と高く、中日の中ではビシエドに次ぐ2位の数値です。wRC(得点創出)が56.0とそれほど高くないのは打席数が少ないためであり、打席数が増えれば自然と高くなる数値です。すなわち福田の課題は、安定した状態で、かつ怪我なくシーズンを乗り切ることでしょう。いずれにしても、福田の長打力は中日の中では突出していますので、チーム得点に大きな影響を与える選手です。

平田良介は怪我で戦列を離れることが多く、昨年(2018年)に比べて大きく成績を下げています。wRAA(打撃得点)が8.2、wRC+(打撃傑出度)118.4と高橋と同じくらいであり、並みレギュラークラスの数値に留まっています。2018年はビシエドと同等の数値でしたから、打撃貢献度は大きく下がってしまいました。一方、UZRは10.6とリーグ1位(右翼手部門)と守備貢献が高いです。良い選手なのですが、怪我が多いのが勿体無いですね・・・

京田陽太はまだまだ打力が弱く、wRAA(打撃得点)は-18.0、wRC+(打撃傑出度)も71.4と平均以下の打者と言えます。一方、BsR(走塁得点)が3.7でセ・リーグ8位、UZRが17.5でリーグ1位(遊撃手部門)であり、走塁・守備の貢献度が高い選手です。ちなみにWAR(勝利貢献値)は3.0と高く、中日の野手陣ではビシエド・阿部・大島に次ぐ4番目の数値です。それだけに打力が向上すればチームにとっても大きな戦力アップが見込まれるでしょう。

 

  • 2019年のドラゴンズ打線を牽引していたのはビシエド・大島
  • 福田はOPS、wRC+(打撃傑出度)が高く、打席数(出場試合数)が増えればチーム得点増加が見込まれる
  • 平田は守備貢献度も高く実績もある選手なので、怪我なくシーズンを過ごせれば間違いなくチームの戦力になる
  • 京田は走塁・守備に関して問題は見当たらず、十分戦力になっている。逆に言えば、外せない選手なので打撃向上が望まれる
  • 高橋周平は並の成績だが、若いので今後の成長に期待か?(特に長打力)
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サブクラス(打席数100~300)

続いて、打席数が100~300の野手陣の成績を見てみましょう。

< 2019年 中日ドラゴンズ野手成績2 >

選手打席打率打点OPSwRAAwRCwRC+
加藤245.228013.543-14.412.646.7
堂上217.2121239.708-2.421.489.8
アルモンテ174.329725.8688.627.7144.8
藤井154.220112.591-6.510.461.5
遠藤120.270211.710-0.512.796.6
井領103.29009.711-0.311.097.4

< OPS >
出塁率と長打率を合わせたものであり、OPSが高いほど得点は多くなる。
< wRAA >
打撃得点。平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点。
< wRC >
創出得点。その打者が生み出した総得点を表す指標。
< wRC+ >
打撃傑出度。打席当たりの得点創出の多さを平均的な打者を100とした場合のパーセンテージで表す指標。

※wRAA、wRC、wRC+は当サイトの独自計算値であり、サイトによっては異なる計算値になることもある。これは得点期待値表の違いや小数点何桁まで使うかといった違いにより、算出に用いる係数が変わるためである。従って、これらによって分析結果に大きな影響を与える訳ではありません。

 

アルモンテはサブクラスの選手の中で別格の数字を残しています。開幕から不振で2軍降格、外国人枠の関係でなかなか昇格できませんでしたが、夏に1軍昇格すると、持ち前の打撃が冴え渡り、チーム8連勝に貢献するなど活躍しました。しかし、8月13日の走塁中に右太ももを痛め離脱。2018年に比べ、打席数が大幅に減ったものの、OPSが.868、wRC+(打撃傑出度)も144.8と高い数字を残しています。

堂上直倫は自己最多の12本塁打を放ち、印象に残る一打も多かったのですが、通年で見るとwRAA(打撃得点)が-2.4、wRC+(打撃傑出度)も89.8と並以下の成績に終っています。とは言っても、内野のどのポジションでも守れる守備力はチームにとって欠かせない戦力でしょう。

遠藤一星・井領雅貴はセ・リーグおいて平均的な打撃能力です。逆に言えば、まだまだアピールポイントに乏しいと言えますし、彼らは30歳と決して若くありませんので、今後プロの世界で生き抜くためには打撃能力の上乗せが欲しいところですね。

藤井淳志はベテランの存在感を示すことができなかったシーズンとなりました。wRC+(打撃傑出度)が61.5であり、代打としても寂しい数字に終っています。。

加藤匠馬は2019年の中日ドラゴンズにおいて、最も打席数が多かった捕手ですが、打撃ではwRAA(打撃得点)が-14.4、wRC+(打撃傑出度)が46.7とチームに貢献できませんでした。今シーズンが4年目の選手であり、初めて一軍に定着したシーズンですので、この経験を生かして飛躍して欲しいと思います。

 

  • 全体的に控え選手の層が浅く、レギュラークラスが怪我などで戦列を離れると、急速に得点力が低下している
  • 唯一、アルモンテが高い数値を残しているが、外国人枠の関係で柔軟な起用ができないという問題点も抱えていた
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2019年中日ドラゴンズ投手成績分析

2019年中日ドラゴンズの投手成績についてセイバーメトリクスで分析してみます。

先発陣

< 2019年 中日ドラゴンズ先発陣成績 >

選手先発投球回防御率QSFIP
26170.21173.53183.99
大野25177.2982.58183.70
ロメロ21116.18104.26125.23
山井1365.0354.8526.12
笠原834.2325.7125.22
清水835.1224.3306.03
小笠原738.2312.5634.14
阿知羅734.0135.8217.44
山本745.1332.9834.96
梅津634.2412.3443.70
吉見519.2116.4102.58
< QS >
クオリティースタート。先発投手が6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内に抑えた数。
< FIP >
守備から独立した防御率。本塁打以外の打球の部分は無視し、被本塁打・奪三振・与四死球から算出。運の要素を取り払い、より実力に近い数値がでる。

 

柳裕也は今年の中日ドラゴンズの中で最もブレイクした投手でしょう。二桁勝利も達成しましたし、QSが18もあり、全体的に安定していました。大野と並び、中日先発陣の中核として活躍しましたが、来年以降もこれを続けて欲しいですね。

大野雄大は最優秀防御率に輝き、9/14の阪神戦ではノーヒットノーランを達成するなど、完全復活した記念すべき年になりました。球速が戻り(140km/h後半)、以前のパワフルなピッチングが復活したのが大きかったですね。荒れ球のイメージがありますが、四死球が45と意外に少なく安定感がありました。FIPが3.70で柳の3.99と大きな差がなく、これだけをみると柳に比べて運の要素が強かったと見ることができます。しかし守備を考慮するuRAを比べると大野3.61、柳4.38と大きな差があり、大野の方がアウトにし易いゴロやフライを打たせていたことが判ります。逆に言えば、ボールの力が落ちてしまえば、一気に成績が悪くなる可能性を秘めているとも言えますね。

ロメロは中日の先発陣では3番目に登板数が多く、QSも12とそれなりの数字を残しました。今年の先発陣を考えると、ありがたい存在だったと言えるでしょう。それでも、柳や大野に比べると見劣りする内容ですし、FIPが5.23とあまり良くありません。ロメロがローテ5・6番手なら強い先発陣と言えるんですけどね。

小笠原慎之介は2018年の開幕投手であり、今年はさらなる飛躍が期待されていた年だったのですが、左肩・左肘の故障で出遅れ、ようやく夏からの復帰となりました。それでも各種数値をみると高いポテンシャルを持っている投手なのは間違いありません。FIPが4.14であり、同じような立場であるロメロ・山井・笠原・清水と比べて一段上の能力を持っていると言えます。来年は怪我なく開幕を迎え、フル回転してくれれば自然と結果が出るはずです。

山本拓実は小柄な体(167cm)から力のあるストレートを武器に頭角を現しました。防御率が2.98と優秀でしたが、FIPは4.96とさほど良くはありません。これは四死球が多いことが原因です。ゴロやフライアウトが多く、優秀な守備陣に助けられた結果の防御率と見るべきですね。まだ高卒二年目の19歳(2020年は20歳)ですので、今後の成長に期待しましょう。

梅津晃大は今年の後半戦からチャンスをもらい、しっかりと結果を残しました。特に優勝した巨人から2勝を挙げるなど、印象に残る活躍をしたと思います。防御率が2.34と優秀であり、さらにFIPも3.70と柳・大野クラスの数字でした。これは野手の力に頼らず、自らの力でアウトを奪う能力を示していますので、来年以降の更なる成長が楽しみですね。長身に加え、端正な顔つきですので、活躍次第では中日ドラゴンズを代表する選手になるかもしれません。

 

  • 柳・大野は高いパフォーマンスを発揮した1年だった
  • 3番手のロメロ以下、全体的に先発陣が薄かった
  • 小笠原、梅津は少ない登板数だったが、高い能力が垣間見え、来年以降の活躍が期待できる
  • 同じ若手の山本・笠原・清水はもう一段能力を上げる必要がある
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救援陣

< 2019年 中日ドラゴンズ救援陣成績 >

選手登板HS防御率FIP
ロドリゲス64344111.642.25
岡田53327133.584.21
52201802.053.16
祖父江4434313.113.87
マルティネス43141482.662.79
谷元38011305.224.92
藤嶋32021402.481.96
三ツ間2922403.385.19
鈴木25021144.324.45
田島2101506.865.84

 

ロドリゲスは最優秀中継ぎ賞に輝き、非常に高いパフォーマンスを発揮しました。160km/h近い速球は圧巻で、打者が分かっていても打てないストレートは見ていて気持ち良かったですね。FIPも2.25と非常に良い数字で、自らの力でアウトにできる高い能力があることを示しています。まさにセットアッパーに適した能力と言えるでしょう。そんなロドリゲスですが、来年(2020年)はレンジャーズでプレーすることが決まり、退団することになりました。力のある投手なだけに残念ですね。

マルティネスもロドリゲス同様、高いパフォーマンスを発揮した外国人選手です。一時はクローザーを務めましたし、チーム貢献度が高い選手です。FIPも2.79と良い数字ですし、今後も安定した成績を残す可能性が高いでしょう。マルティネスはキューバから派遣されている選手ですので、自らの意思とは関係なく、退団する可能性があることが心配です。できれば、長く中日ドラゴンズに在籍して欲しい選手なんですがね。

岡田俊哉はシーズン終盤にクローザーを務めました。入団した2013年からリリーフとして多くの登板をこなしてきましたが、2017年に血行障害の手術に踏み切り、昨年(2018年)に復帰。今シーズンは53試合に登板にし完全復活を遂げました。一方、FIPは4.21とリリーフ投手としてはあまり良くありません。特に8本の本塁打を打たれていることがマイナスポイントです。ただ個人的に、今シーズン岡田をクローザーに抜擢したことは賛成です。自らの力でアウトを奪う能力が高いロドリゲス・マルティネス・藤嶋の方が厳しい場面での登板が多いセットアッパーに適しているからです。来年以降、引き続き岡田がクローザーとなるのか、中継ぎに回るのか分かりませんが、現状の中日救援陣にとって彼の存在は大きいといえるでしょう。

福敬登が投げていると、『山本昌が投げている』といつも感じるのは私だけでしょうか?それはともかく、今年は大きく飛躍した年になりました。防御率2.05、FIP3.15と非常に高い数字を残しています。特にFIPの数字が良いことから、来年以降も同じような活躍をする可能性が高いといえます。今後の中日救援陣を支える一人になるでしょう。

藤嶋健人は2019年1月に血行障害の症状、2月に手術、ファーム復帰登板が6月と苦難のシーズンでした。その一方、1軍に昇格後は32試合に登板し立派な成績を残しました。特にFIPが1.96と圧巻。29イニングで奪三振が35、与四死球が7ですので、非常に優秀な投手です。来年以降、さらに登板数が増えても、このスペックを維持できるのかがポイントになるでしょう。藤嶋自身、血行障害の症状がたまにでることを告白しており、この点は心配です。逆に言えば『元気に一年間一軍にいる』これができれば必然的に高い成績が残せる投手だと思います。

祖父江大輔は救援陣の中では登板数も多く、投球イニングも多い投手です。防御率3.11とまずまずですが、FIPは3.87とさほど良くありません。祖父江の場合、被本塁打は3と少ないのですが、奪三振が27、奪三振率5.24と低いことがFIPを悪化させている原因です。相手打者をねじ伏せることができないので、ピンチの場面では心許ないと感じる人は多いでしょうね。とは言っても、2014年の入団以来、大きな怪我なく毎年コンスタントに登板しており、救援陣を影で支えていることは間違いありません。来年は33歳になりベテランの域に入ってきますが、もう一段高い成績を残して高い評価を得て欲しいですね。

谷元圭介・三ツ間卓・鈴木博志・田島慎二はリリーフとしてはFIPの数字が悪いです。中でも実績のある田島は飛びぬけて悪いですね。18イニングしか投げていないのに、5本のホームランを打たれています。鈴木は開幕からクローザーとして起用されましたが、期待を裏切る結果に終りました。勢いのあるボールが持ち味なのに、三振が奪えず(25イニングで奪三振16、奪三振率5.76)、四死球も15と非常に多い。『キンブレルのマネなんかしてんなよ!』とファンが言いたくなる気持ちも分かります。

※【グレイグ・キンブレル】MLBを代表するクローザー。2018年には通算300セーブを達成。

  • ロドリゲス・マルチネス・藤嶋・福はFIPが良い数字=自らの力でアウトを取れる能力が高いピッチャーであり、厳しい状況で登板するセットアッパーに適している
  • さらに上記ピッチャーは来年以降も活躍する可能性が高い
  • 若干能力の落ちる岡田は、イニングの頭から登板するクローザーの方が適している
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2020年に中日ドラゴンズがAクラスに入る可能性は?

ここで、来年(2020年)に中日ドラゴンズがAクラスに入る可能性について考察したいと思います。

ピタゴラス勝率で見る予想順位

セイバーメトリクスにおいて、ピタゴラス勝率という概念があります。

ピタゴラス勝率 = 得点2÷(得点2+失点2

この計算式で求められるピタゴラス勝率と、実際の勝率は高い相関があり、2019年のセ・リーグに当てはめてみると、以下のようになります。

< 2019年 セ・リーグ順位表 >

チーム実際の勝率ゲーム差ピタゴラス勝率
巨人.546.572
DeNA.5075.5.488
阪神.5046.0.475
広島.5006.5.492
中日.4829.0.517
ヤクルト.41818.0.441

ピッタリ一致する訳ではありませんが、巨人が飛びぬけて高く、ヤクルトが飛びぬけて悪い結果は同じですね。

実際2位のDeNAから5位中日のピタゴラス勝率は大きな差はなく、どこが2位になってもおかしくない計算結果になったとも言えます。これらを踏まえると、今年の戦力で何回か戦ったら中日が2位に入る可能性もあるのです。

さらに優勝を目指す場合、最低でも今年優勝した巨人のピタゴラス勝率に近づく必要があります。この場合、2019年セ・リーグで最も少なかった失点をさらに減らすことより、リーグ5位だった得点を増やす方が理にかなっています。

こういった視点で考察すると、中日ドラゴンズの得点が70増え、得点633、失点544であれば、ピタゴラス勝率が.575となり、巨人の.572を上回り、優勝争いする可能性が極めて高くなります。

中日ドラゴンズの得点を70を増やすには?

得点を70増やすには、具体的に各選手がどのような成績を残せばよいのかセイバーメトリクスで分析してみます。

今年最もチーム得点に貢献したビシエドと大島は除き、平田・福田・高橋・京田に絞って分析します。ビシエドや大島に対し、さらに高い成績を望むのは酷ですからね。

平田のwRC(創出得点)上乗せ条件と期待値

2019年、平田のwRC(創出得点)は53.0でした。

キャリアハイを残した2018年の成績は打率.329、9本、55打点、OPS.866であり、wRC(創出得点)は95.3もありました(何度も言いますが、wRCは独自計算ですので、他のサイトと若干数字が異なります)。

すなわち平田がほぼフル出場し、2018年の成績を残した場合、42.3もwRCが増えることになります。ちなみに、2019年の成績でフル出場した場合、平田のwRCは81.9となり、28.9も増加します。

平田がフル出場して近年の成績を残せれば、30~40のwRC(得点創出)の上乗せが期待できますす

福田のwRC(創出得点)上乗せ条件と期待値

2019年、福田のwRC(創出得点)は56.0でした。wRC+(打撃傑出度)が144.6と優秀ですので、この成績でフル出場すれば十分です。

ビシエドと同じくらい打席に立ったと仮定すると、30本塁打打つことになりますし、wRCは98.6に跳ね上がり、wRCは42.6も増えることになります。

福田は長打力があり得点貢献度が高い選手ですので、フル出場し今年と同じ能力を発揮すれば、40前後のwRC(得点創出)の上乗せが期待できます

高橋のwRC(創出得点)上乗せ条件と期待値

2019年、高橋のwRC(創出得点)は61.5でした。高橋は森野の後継者として期待されていましたから、そのラインを基準に考察してみます。

2019年が打率.293、7本でしたが、これが打率.300、20本になった場合、wRCが89.3になり、27.8も増加することになります。

これはドラゴンズファンとしての希望もありますが、高橋が森野クラスの打者に成長&フル出場することによって、30前後のwRC(創出得点)の上乗せが期待できます

京田のwRC(創出得点)上乗せ条件と期待値

2019年、京田のwRC(創出得点)は45.1でした。打率が.249と低く、これが.280まで向上したと過程して考察します。

打率.280になった場合、wRCは60.6となり、15.5しか増えません。ただ厳密に言えば、打力が上がると四死球も増え、出塁率も上がりますので、この計算値よりさらにwRCが増える可能性はあります。

それらを考慮すると、京田の打率が.280に上昇した場合、20前後のwRC(創出得点)の上乗せが期待できます

 

まとめると、以下のようになりました。

  • 平田がフル出場して近年の成績を残せれば、30~40のwRC(得点創出)の上乗せ
  • 福田がフル出場し今年と同じ能力を発揮すれば、40前後のwRC(得点創出)の上乗せ
  • 高橋が森野クラスの打者に成長&フル出場することによって、30前後のwRC(創出得点)の上乗せ
  • 京田の打率が.280に上昇した場合、20前後のwRC(創出得点)の上乗せ

すべて達成できれば、wRC(創出得点)が100以上増えることになりますね♪

もちろん、彼らがフル出場すれば他の選手の出場機会を奪うことにもなりますから、その分のwRC(創出得点)は減りますが、元々wRC(創出得点)が低いことを考慮すれば、差し引きでもかなりのプラスが残るはずです。

ただこれだけ各選手が打ちまくってようやく巨人に追いつけると考えると、なかなか優勝が遠く感じるのも仕方がありませんね・・・

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まとめ

2019年の中日ドラゴンズのチーム成績・野手成績・投手成績をセイバーメトリクスを用いて分析してみましたが、いかがでしたか?

セイバーメトリクスと言っても色々な指標がありますし、私が中日ドラゴンズファンですので、希望的観測も多少は含まれているかもしれません。

まぁ、このような見方もあるんだなぁ~程度に読んでもらえれば幸いですし、2020年の中日ドラゴンズがAクラスに入ることは、悲観するほど可能性が低くないことは確かです。

 

その他のチームも同様に分析したのですが、記事が長くなりすぎるので割愛しました。ただ、このように分析すると、チームの特色が見れて意外と面白いです。

特に、優勝した巨人は戦力が分厚くサブクラスの野手の充実度は他チームの倍あり、逆に言えば若手が二軍から這い上がってくるのが難しいのも理解できます。

阪神は打力・守備力が低い野手陣が改善されれば一気にチーム力が高くなるでしょう。特に『打力はないが守備が良い』布陣の場合、野手を入替えるのに抵抗感がありますが、打力・守備の両方が悪い場合は比較的野手の入れ替えがし易いはずです。いずれにしても、球団フロント・首脳陣の選手運用の良し悪しがチーム成績に与える影響が高い状況なのは間違いありません。

また書き出すと長くなりますので、この辺で止めましょう・・・要望があれば他球団の分析結果も記事にしたいと思います(需要なんてあるかなぁ?)。

 

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