2018年中日ドラゴンズは5位
2018年のプロ野球レギュラーシーズンは終わり、セ・リーグは広島東洋カープが3連覇、パ・リーグは西武ライオンズが10年ぶりのリーグ優勝を勝ち取りました。
中日ドラゴンズは昨年(2017年)同様、5位に終わり、2013年から続くBクラスは7年連続となってしまいました。
セリーグの順位表は以下の通りです。
< 2018年 セ・リーグ順位表 >
チーム | 試合 | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 | 差 |
広 島 | 143 | 82 | 59 | 2 | .582 | — |
ヤクルト | 143 | 75 | 66 | 2 | .532 | 7.0 |
巨 人 | 143 | 67 | 71 | 5 | .486 | 13.5 |
DeNA | 143 | 67 | 74 | 2 | .475 | 15.0 |
中 日 | 143 | 63 | 78 | 2 | .447 | 19.0 |
阪 神 | 143 | 62 | 79 | 2 | .440 | 20.0 |
シーズン終盤は広島独走、ヤクルト2位がほぼ確実な状況の中、CS出場1枠を賭けて巨人・DeNA・中日・阪神が争いましたが、巨人が耐え抜き3位になりました。
中日にもチャンスがありましたが、最後はずるずると負けてしまい残念ながら脱落。
対戦成績で広島に14勝11敗と勝ち越すなど、頑張った部分もあったんですけどね。
2018年チーム打撃成績
セ・リーグのチーム打撃成績を抜粋して以下にまとめます。
打 率 | 本 塁 打 | 得 点 | 盗 塁 | 四 球 | 三 振 | 長 打 率 | 出 塁 率 | |
広 | .262 | 175 | 721 | 95 | 599 | 1143 | .431 | .349 |
ヤ | .266 | 135 | 658 | 68 | 561 | 931 | .402 | .347 |
巨 | .257 | 152 | 625 | 61 | 465 | 1120 | .403 | .325 |
De | .250 | 181 | 572 | 71 | 363 | 1041 | .415 | .307 |
中 | .265 | 97 | 598 | 61 | 402 | 981 | .380 | .325 |
神 | .253 | 85 | 577 | 77 | 528 | 1086 | .361 | .330 |
※太字はリーグ1位、赤字はリーグ最下位
リーグ優勝した広島の攻撃力はさすがですね。出塁率も高く長打もあり、足を絡めた攻撃もある。
面白いのはDeNA。本塁打王に輝いたソトの41本をはじめ、筒香38本、宮崎28本、ロペス26本とスラッガーが揃っていますが、得点はリーグ最下位。
チーム出塁率の低さが足を引っ張っており、これらが改善されれば広島に匹敵する攻撃力を持つチームになるでしょう。
中日のチーム打率はリーグ2位の.265。大島や京田の状態が上がらない日々が続きましたが、ビシエドが打率.348で首位打者を獲得。
平田が.329、アルモンテも.321と好成績を残しチームを牽引し、福田や高橋も1年を通じて1軍にくらいつきました。
層の厚さはありませんが、レギュラークラスはそれなりの結果を残したと言えます。
しかし気になる点もあります。相手チームからもらった四球の数が402個とワースト2位。出塁率もワースト2位です。
打つときは打ちますが、四球をもらってジワジワ相手を追い詰める攻撃が出来ていない。
でも、これは攻撃陣の問題だけとは思いません。投手陣が悪いことにより相手チームから堂々と攻められるケースもあるからです。
落合監督時代の強かった頃の中日は、優れた投手力とは裏腹に『貧打』と言われることが多かったですよね。
それでも先発陣が踏ん張っている間に、相手チームをジワジワ追い込み、我慢比べに持ち込むことが多かった。試合後半になれば強力なリリーフ陣が控えている。
試合が進めば進むほど、相手チームは1点も与えることが出来ない状況に追い込まれていきました。その結果、四球をもらって徐々に追い詰める攻撃が多くありました。
そもそも『貧打』と言ってもタイムリーヒットが出ないだけで、チャンスを作るケースは多く見られたのも事実なんですよね。
今のチームはまさに逆で『今の中日投手陣なら多少の失点は挽回可能』と思われている。
だから無駄な四球を出すくらいならと、試合後半でも堂々とストライクゾーンで勝負してくるわけです。
このようなケースも多かったんじゃないですかね。
2018年チーム投手成績
セ・リーグのチーム投手成績を抜粋して以下にまとめます。
防 御 率 | 本 塁 打 | 四 球 | 故 意 四 | 三 振 | 失 点 | 自 責 点 | |
広 | 4.12 | 138 | 535 | 25 | 1041 | 651 | 587 |
ヤ | 4.13 | 143 | 464 | 24 | 1018 | 665 | 585 |
巨 | 3.79 | 144 | 406 | 21 | 1040 | 575 | 538 |
De | 4.18 | 149 | 489 | 56 | 1163 | 642 | 590 |
中 | 4.36 | 149 | 526 | 6 | 941 | 654 | 611 |
神 | 4.03 | 127 | 509 | 24 | 1182 | 628 | 572 |
※太字はリーグ1位、赤字はリーグ最下位、故意四球については最多、最小の区別をつけない
チーム投手成績は巨人が優秀ですね。ここには記載しませんでしたが、完投数21、完封数16はぶっちぎりの成績です。やはり菅野の成績が凄すぎですね。
リーグ優勝した広島は苦しい投手事情が反映されていますね。逆に言えば、総合力で勝ち取った優勝とも言えるでしょう。
中日のチーム防御率はリーグワーストの4.36。自責点もワーストですし非常に厳しい台所事情でしたね。
チーム全体として四球が多く、長打も打たれる。そんな感じでしょうか。
松坂の復活や吉見が怪我無く一年を乗り切るなど、ベテランも戦力になった投手陣でしたが、若手の台頭がなく、助っ人のガルシアが孤軍奮闘したシーズンでした。
特に救援陣は散々。クローザーの田島が不振になり戦線離脱すると、代役の鈴木博もダメになり、又吉も不安定。
試合後半にいくら打線が追いついても、すぐ引き離されたり、あっさり逆転されたりするケースが目に付きました。
少し面白いデータとして、故意四球が6とダントツで少ないこと。対照的にDeNAは56とダントツで多い。
チームの戦略もあるんでしょうが極端ですよね。試合終盤に競ったゲームの多い・少ないもあると思いますが。
2018年チーム守備成績
セ・リーグのチーム守備成績を抜粋して以下にまとめます。
守 備 率 | 失 策 | 捕 逸 | |
広 | .985 | 83 | 7 |
ヤ | .984 | 88 | 6 |
巨 | .988 | 66 | 7 |
De | .987 | 69 | 7 |
中 | .991 | 52 | 10 |
神 | .984 | 89 | 9 |
※太字はリーグ1位、赤字はリーグ最下位
中日は意外に良い成績ですね。レギュラーメンバーを見ると名手と言われる選手が揃っている訳じゃないんですが・・・
まぁ、守備率は失策数が少なければ高くなるのは当然ですし、失策は守備範囲が広い選手と狭い選手では意味合いが異なりますので、何ともいえませんね。
さらに、取れるはずの併殺を取れなかったり、数字に表れない失策もありますしね。とは言え、無難に守備をこなしていることは間違いないでしょう。
四球とチーム成績
チーム打撃のところで四球数について触れましたが、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
中日黄金期と言われる2004年~2011年から現在までの、打者が選んだ四球数と投手が与えた四球、その年のチーム順位についてまとめたものが以下の表になります。
年 | 順位 | 四球 | 与四球 | 防御率 | 備考 |
2004 | 1 | 417③ | 370② | 3.86① | 落合監督就任 |
2005 | 2 | 524① | 409③ | 4.13④ | |
2006 | 1 | 454① | 336② | 3.10① | |
2007 | 2 | 538① | 425③ | 3.59③ | 日本一 |
2008 | 3 | 427② | 336① | 3.53③ | |
2009 | 2 | 432① | 372③ | 3.17② | |
2010 | 1 | 456① | 416③ | 3.29① | |
2011 | 1 | 423② | 316① | 2.46① | |
2012 | 2 | 416③ | 324① | 2.58② | 高木監督就任 |
2013 | 4 | 471③ | 495⑤ | 3.81④ | |
2014 | 4 | 467② | 503⑥ | 3.69② | 谷繁監督就任 |
2015 | 5 | 401⑤ | 425③ | 3.19③ | |
2016 | 6 | 410④ | 469④ | 3.65④ | |
2017 | 5 | 320⑥ | 495⑥ | 4.05⑤ | 森監督就任 |
2018 | 5 | 402⑤ | 529⑤ | 4.36⑥ |
これを見ると、2004年~2011年の中日黄金期は投手力を前面に打ち出した戦い方をやっていた一方で、打撃陣も四球を多くもらって粘り強くチャンスメイクしていたことが分かります。
これらは、ある程度相関があると思うんですよね。
投手陣を信頼しているからこそ、打者はじっくり攻めることが出来る。打撃陣が打てなくても粘り強く攻めているので、投手陣はいつかは点が入ると信じて失点を最小限に食い止める。
弱いチームは逆ですよね。打撃陣が点をとっても弱小投手陣は簡単に逆転を許す。投手陣が踏ん張っても、打者はチャンスすら作れず凡打の山・・・みたいな。
2013年以降の中日はこのパターンが続いていると思いますけどね。
これを打開するには投手陣の再興が先決でしょう。そのためには若手投手の台頭は必須です。
最後に
2018年シーズンはセパともに打高投低でした。この理由が選手の調子によるものなのか、ボールの変更があったのか(そんなアナウンスは正式にありませんが)不明です。
中日はチーム打撃成績が良かったですが、その点を差し引く必要があると思います。来年以降も安定した打撃成績を残せるとは限りませんから。
やはり広いナゴドの利点を生かすべく、投手陣の奮起なくしてチームの浮上はありえないでしょうね。
中日の場合、ビシエド・アルモンテ・ガルシアと大きな戦力になっている助っ人がいる以上、補強ポイントをさらに助っ人で賄うことは外人枠の都合上難しい。
しかし先発、セットアッパー、クローザーと軸になる日本人はいませんし、この全てが補強ポイントになっていることは間違いありません。
これまでは田島がクローザーを務めていましたが、2018年は打ち込まれてしまい、このポジションも白紙なってしまう有様です。
今後のFAやドラフトなどで補強が進むでしょうが、必要なピースが全部埋まるほどの補強は無理ですから、現有戦力の底上げが必須ですね。
新監督に与田氏、森監督はフロントに入ると発表され来シーズンの準備が進んでいる中日ドラゴンズ。
そろそろBクラス脱出とCS出場を期待したいと思いますが、なかなか明るい見通しが立たないなぁと思うのは私だけじゃないと思います。