みなさんは場面緘黙症を知っていますか?
私の息子・コウタローが場面緘黙症だと分かったのが幼稚園の年中のとき。
それからコウタローをサポートするため、ライフスタイルを変化させつつ症状改善を模索する日々が続きましたが、コウタローが小学校6年生になるころには学校で発言・発表できるまで改善しました。その後、面接やグループ討論という試験を乗り越え公立中高一貫校に合格。卒業式における「卒業生別れの言葉」も立派に発表し、成長した姿を家族に見せてくれました。
場面緘黙症の発症率は200人に1人程度だと言われており、場面緘黙症で悩んでいる方やその親御さんも多いと思われます。そのような方に少しでも参考になればと思い、場面緘黙症に関することや取り組んできたことなどをご紹介します。
場面緘目児は運動や勉強が苦手?
場面緘黙症のお子さんを持つ親御さんの中には、
小学校に入って運動や勉強が人並みにできるか心配だわ、、、
と思う方もいるのではないでしょうか?
保育園や幼稚園ならまだしも、小学校以降は多くのクラスメイトと切磋琢磨して生活していくわけで、周りの子に置いていかれると場面緘黙症の悪化を招きそうですしね。
そこでこの記事では、場面緘目児が運動や勉強が苦手なのかどうかを経験者の立場からお話したいと思います。
場面緘目児は運動が苦手になる可能性が高い
場面緘目児の特徴として「目立つことが嫌い」があります。周りの人に注目されたり視線が集まることを極端に嫌がるわけです。
人は誰でも「できないこと」「失敗したこと」に注目が集まると嫌な気持ちになります。それは場面緘目児も普通の子も同じ。
場面緘目児と普通の子の違いは、「できること」「成功したこと」に対して注目が集まったとき、それを嫌がるかどうかです。
普通の子は優越感に浸りますが、場面緘目児はどんなケースだろうが注目されたくありません。
それゆえ、圧倒的なスキルを手に入れたいという欲求も弱く「他人を蹴落としても自分が進む」という争いを望みません。
力を抜いて加減する傾向もあり、結果的に運動が苦手なタイプに分類されることが多いと個人的には感じます。
だが、運動能力を人並みにすることは簡単
場面緘目児は大人しい子が多く目立つことを嫌がりますから、自分が活躍して目立つことを目標にすることはまずありません。
しかし、大抵の子供は体を使った遊びが好きですから、運動そのものが嫌いな訳ではないのです。
運動が嫌いになるのは、小学校に入った後。人と比べられることが圧倒的に増え、恥ずかしい思いをした経験を重ねるからです。
運動嫌いになってから運動をさせるのは大変なことですが、運動嫌いになっていなければ運動させることは容易です。
そして、体を使った遊ぶや運動を数多くこなせば、誰でも人並み程度に運動ができるようになります。
これらをまとめると、
小さいうちに体を使った遊びを数多くこなせば、たとえ場面緘目児でも運動が苦手にならない
となります。
コウタローの場合
我が家の近くに広めの公園(ボール遊びもOK)があったので、天気の良い日はほとんど毎日コウタローを公園に連れて行きました。
コウタローは公園が好きで、いつも「早く公園に行こうよ~」と急かされていました。
私は野球が得意なので(小学校から大学まで野球漬けでした)、コウタローに野球を教えつつボール遊びの毎日。そんな生活をしていると自然に野球が上手くなりますし、運動能力も向上します。
コウタローが小学校に入学してすぐ体力テストがありましたが、コウタローは平均以上の運動能力がありましたし、ボール投げは圧倒的な距離を投げていました。
そんなコウタローですが、やっぱり場面緘目児だなぁ~と思わせる一面も。
それは幼稚園での運動会(年長)で、障害物競走での出来事。スタートからトップに立ち、常にリードしている展開で迎えた最後の関門は「アメ食い」でした。
「アメ食い」と言えば、顔だけで大量の片栗粉や小麦粉の中に隠されたアメを拾って先に進むと言う例のアレ。
コウタローが一番手でアメ食いにチャレンジしていたのですが、そのうち後続が追いつき園児が団子状態に。するとその状態を嫌ったコウタローが後からきた園児にその場を譲り「どうぞどうぞ」状態、、、
多くの園児に抜かれた後、空いた容器に顔を突っ込みつつ悠々アメを拾い上げましたが、ゴールは余裕のビリでした。
このように他人と直接争うようなゲームは苦手なんですよね。たぶん、サッカーやバスケなど人と直接触れ合うスポーツを教えていても苦手だったかもしれません。
場面緘目児と勉強の関連は感じない
勉強は一人でやるものであり、特定のスポーツのように人とぶつかりながら争うものではありません。
ですので「場面緘黙症だからといって勉強ができない」ということはありません。
まぁ、何を「勉強」と定義するかによって違いますが、学校の筆記テストであれば普通の子と変わりませんね。
勉強をやっている子はできるし、勉強をやっていない子はできない。ただ、それだけです。
コウタローの場合
コウタローの勉強を見てきた私の立場からみて、正直勉強に関して困ったことはありません。
学校レベルの内容であれば、大きくつまずくことはなかったですね。
塾には通っておらず、通信教育講の「チャレンジ」を家でやらせていただけです(1年~2年はポピーも併用)。
「チャレンジ」に関しては、基本的に低学年は親が丸付けをしますので、どこでつまずいているか確認できますし、子供のレベルに合わせてコースも選べるのでおすすめです!
「理解が足りていないな」というポイントがあれば、チャレンジウェブからダウンロードできる問題集で繰り返し学習できますし、少なくとも「量」で困ることはありません。
学校でのテストも極端に低い点数を取ることはありませんでした。
通知表については他の子と比べていないので分かりませんが、学校の先生からは「勉強が出来ています」以外の評価を聞いたことがないので、少なくとも悪くはないでしょう。
しいて言えば、「自分の考えを書く」ような問題はどちらかと言えば苦手でした。
これは内容の構成に困っていると言うより、「目立ったことを書きたくない」という心理から発想の幅が狭くなってるという感じです。
しかし、小学校の高学年になれば「事実」と「意見」の区別をつけて文を書くようになりますので、自然と克服していきました。
正直勉強面については、最初から全く心配していなかったんですよね。
やればできるだろうし、ならなきゃできないだろう、と。
何故かと言うと、コウタローは何度かWISC-Ⅳ(ウィスクフォー)と呼ばれる知能検査を受け、全般的な知的能力に全く問題は見当たらなかったからです。
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)検査については別の記事でいずれ触れますが、場面緘目児にとって大変有用な検査ですから、活用をおすすめします。
最後に
この記事では、場面緘黙児は運動や勉強が苦手かどうかについてお話しました。
場面緘目児は大人しい気質があるだけで、身体の機能や脳機能に障がいがあるわけではありません。
このことを理解していれば、場面緘黙症が直接的な原因で運動や勉強が手になることなどありえないと分かると思います。
もちろん、症状により活動範囲が狭まりますから、全く影響がないわけではありません。
それだけに場面緘黙症のお子さんに合わせたスポーツや勉強方法を見つけることが大切だと思います。
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