10年くらい使っていた格安お風呂用 Bluetooth スピーカーの調子が悪くなってきたので、新たに「Anker Soundcore 3」を購入しました。ほどなくして、オーディオ出力30Wを誇る「Xiaomi サウンドアウトドア」の存在を知ることに。「同じようなスピーカーをもう一つ買うのか?」と悩みに悩みましたが、約5,000円という価格が決め手となり購入しました。
やっぱり気になるのは、「どちらの方かお風呂用スピーカーとして優秀か?」ですので、実際にお風呂で聴き比べてみると「全然違う!」と驚きました。こんなにも差があるのかと・・・
この記事では「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」を比較し、どちらの方がお風呂用スピーカーとして優秀なのかを解説したいと思います。また、お風呂以外で使った場合の比較もしていますので、この記事が参考になれば幸いです。
この記事の目次
スペック比較
まずは「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」のスペックを見てみましょう。
メーカー | Anker | Xiaomi |
品番 | A3117 | MDZ-38-DB |
発売年 | 2020年 | 2024年 |
本体サイズ | [幅]174mm [高さ]59mm [奥行]57mm | [幅]196.6mm [高さ]68mm [奥行]66mm |
重量 | 約500g | 約597g |
オーディオ出力 | 16W (8W×2) | 30W (20W×1) (10W×1) |
防塵・防水性能 | IPX7 | IP67 |
Bluetooth | 5.0 | 5.4 |
入力 | 5V、2A | 5V、3A |
バッテリー容量 | 6700mAh | 2600mAh |
充電時間 | 4h | 2.5h |
連続再生時間 | 最大24h | 12h |
ステレオペア | 非対応 | 対応 |
マルチペア | 対応 (最大100台) | 対応 (最大100台) |
マイク | 有り | 有り |
専用アプリ | 対応 | 非対応 |
AUXポート | 無し | 無し |
充電端子 | USB-C | USB-C |
対応 コーデック | SBC 〇 AAC × aptX × LDAC × SSC × | SBC 〇 AAC × aptX × LDAC × SSC × |
両者は同価格帯で似たような形状の Bluetooth スピーカーですが、スペックを比較するとコンセプトの違いが見て取れます。
- サイズは「Xiaomi サウンドアウトドア」の方が若干大きい
- オーディオ出力は「Xiaomi サウンドアウトドア」の方が大きい
- 防水性能は同等
- 「Xiaomi サウンドアウトドア」はステレオペア(TWS=True Wireless Stereo)に対応している
- 「Anker Soundcore 3」は専用アプリ(Soundcoreアプリ)に対応しており、イコライザーのカスタマイズが可能
「Anker Soundcore 3」はオーディオ出力は16Wと、「Xiaomi サウンドアウトドア」の30Wに劣りますが、Soundcoreアプリに対応させることにより、ユーザーに対して音の選択肢を増やすことを実現しています。一方「Xiaomi サウンドアウトドア」はパワフルなオーディオ出力を前面に押し出し、ステレオペア(TWS)でさらなる高出力化が可能になっています。
これらのことから、対応できる空間は狭いがより快適な音の提供を目指した「Anker Soundcore 3」、広い空間でもパワフルな音の提供を目指した「Xiaomi サウンドアウトドア」と言えますね。
外観比較
「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」の外観を比較してみます。
「Anker Soundcore 3」の外観
正面
正面は金属製のメッシュとなっています。メッシュの穴が非常に小さく、水が浸入しにくい構造になっていますね。外側はラバー状の素材で覆われており、これは側面・背面・上面・底面を囲む一体成型品になっています。
上面
上面には各種スイッチとLEDインジケーターが集約されおり、スイッチ部分は大きく押しやすいです。一体成型品の素材で覆われているので、スイッチ部分も当然一体化。このおかげでスイッチ部には繋ぎ目がなく、一切すき間がありません。これも防水面から見ればプラスに作用しますね。
ただし全ての色が同色なので、ぱっと見でスイッチ部分が分かり分かり難いです。これは一体成型のデメリットですね。まぁ、スイッチを押す頻度はそう多くはありませんので、目くじらを立てる程ではありませんが。
背面
背面中央に soundcore のロゴがありますが、基本的にはシンプルです。
底面
底面の四隅に滑り止めがあり、しっかりグリップしてくれます。
右側面
正面から見て右側面に充電端子(USB-C)があります。旧機種の「Anker Soundcore 2」は端子カバーがありましたが、「Anker Soundcore 3」では非採用となりました。個人的には端子カバーがあったほうが安心なので付けて欲しかったです。スマホなどでもそうですが、結構、端子内はサビますからね。
充電端子キャップ
やっぱり不安だったので、100均で買った端子キャップを被せました。頻繁に充電しませんから不便は感じません。本体色と端子キャップの色が合っていないので、デザイン的にはいまいちですけどね。本体色が黒なら目立たないと思います。
左側面
正面から見て左側面にストラップホールがあり、付属しているストラップを付けることができます。
「Xiaomi サウンドアウトドア」の外観
正面
正面だけでなく、上面・背面・底面と全面メッシュデザインとなっています。いかにもスピーカーらしい外見ですね。正面にはメーカーロゴが入っています。
上面
上面には音量スイッチと一時停止/再生スイッチがあります。ちょっとスイッチ部が小さく感じました。本体サイズに合わせてスイッチ部を大きくし、操作性を高めて欲しかったです。視認性もあまりよくありませんね。デザインとの兼ね合いもあるのでしょうが、どうせスイッチ部は別パーツですから、色を変えて目立たせる等の配慮が欲しかったですね。
背面
背面にもスイッチがあり、上記画像の左から「ステレオペア(TWS)」「Bluetooth」「電源」スイッチとなっています。一番右側にあるカバーで覆われている所に充電端子(USB-C)があります。
ハッキリ言いますが、この背面ボタンは非常に使いにくいです!
Bluetoothスピーカーで最も使うスイッチは「電源」スイッチです。使用前と使用後に必ず押しますからね。そんな使用頻度の高いスイッチをなぜ押し難い背面に持ってきたのでしょうか?デザイン的に収まりが良かったのかもしれませんが、ユーザビリティを蔑ろにしてはダメ。
さらに言えば、スイッチが凸状になっておらず、凹状になっていることもマイナスポイントです。このせいでブラインドプッシュをしようとしても難しいんですよね。「背面にスイッチがあるからブラインドプッシュを試みる」→「スイッチ部が凹状なので、どこにどのスイッチがあるのか分からない」となり、低下したユーザビリティをさらに低下させるデザイン&設計になっているのです。今後、後継機種が出るなら、真っ先に直すべきポイントですね。
底面
底面には滑り止めが2か所あり、しっかりグリップしてくれます。
右側面
正面から見て右側面にはパッシブラジエーターがあります。同様に左側面にもパッシブラジエーターがあり、本体内に組み込まれたサブウーファーと合わせて強力な重低音を実現しています。背面側にあるのはシリコンストラップです。
左側面
正面から見て左側面にあるパッシブラジエーターです。
「Xiaomi サウンドアウトドア」の外観総評としては、スピーカーらしさを前面に押し出したデザインだと感じました。その一方、スイッチの配置やスイッチのサイズなど、設計の詰めが甘い部分がちらほら見受けられました。
水に濡らした様子
上の画像はお風呂場でシャワーを掛けた様子ですが、しっかり水を弾いています。ちなみに、このメッシュ部分は金属製ではありません。素材が何か分かりませんが(ナイロン?ポリエステル?)、水に濡れた本体をタオルで軽く拭いても若干の湿り気が残ります。細かい凹凸に水分が残るのでしょうね。
メッシュ部分を拡大
拡大画像を見て分かる通り、メッシュ部分は細かい凹凸があります。ホコリなどが溜まった時に掃除するのが面倒くさそうですね。メリットとしては、このメッシュ部分は手触りが良い割に抵抗感があり、持ち運ぶ際はしっかり握って持つことができることです。
全体的にはスピーカーらしい外観で悪くないと思うのですが、実用面での課題がネックですね。メンテナンス性も悪いですし、アウトドアで使いたい人はそれなりの覚悟が必要だと思います。
システム&バッテリー性能比較
製品特性に関係するシステムとバッテリー性能を比較してみます。
オーディオ出力
「Anker Soundcore 3」のオーディオ出力は16Wながら、ステレオスピーカーとなっています。さらに、デュアルパッシブラジエーターを採用することにより低音強化を図っています。
「Xiaomi サウンドアウトドア」はモノラルスピーカーですが、出力は脅威の30W!デュアルパッシブラジエーターに加えてサブウーファーを搭載し、重低音を強化しています。
マルチペア、ステレオペア(TWS)
マルチペアとは、複数台のスピーカーを同時にワイヤレス接続できる機能のことです。このとき接続したスピーカーは同じ動作(鳴り方)をします。「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」は共にマルチペアに対応しており、最大100台接続することが可能です。
ステレオペア(TWS)とは「True Wireless Stereo」のことで、完全ワイヤレス接続と言われる機能です。2台のスピーカーを同時に接続し、それぞれのスピーカーが独立してLRの役割を担います。これにより、ステレオ音源をリアルなサウンドで聴くことが可能になるのです。「Anker Soundcore 3」は非対応となっていますが、「Xiaomi サウンドアウトドア」は対応しています。
専用アプリ
「Anker Soundcore 3」は専用アプリ「Soundcore」に対応しています。このアプリでは以下のことを設定・操作することができます。
- ファームウェアの更新
- バッテリーステータス表示
- 音量および再生/一時停止の操作
- イコライザー設定のカスタマイズ
- Bass Upの設定
- オートパワーオフの設定


イコライザーはプリセットとして「デフォルト」「ボイス」「トレブルブースト」「バランス」の4種類が用意されています。もちろんカスタムで好きなように設定することも可能です。やはり、自分好みの音質に調整できるのは良いですよね。
一方、「Xiaomi サウンドアウトドア」には専用アプリには対応していません。これは残念ですね。上位機種の「Xiaomi Bluetoothスピーカー」は専用アプリに対応していますが、価格が8,980円と倍近くの価格差がありますので難しいところです。
マイク、AUXポート
マイクは両者とも対応しており、スピーカーを使ってハンズフリー通話ができます。AUXポートは両者とも非搭載となっています。
対応コーデック
対応コーデックは公表されていませんでしたので、手持ちのスマホで調べてみました。両者とも同じ結果となり、SBC・AAC・aptX・LDAC・SSCの中で対応しているのはSBCのみ。価格帯を考慮すれば仕方ありませんね。
対応コーデックはSBCのみ
バッテリー性能
公式発表されているバッテリー性能を比較すると以下のようになります。
SC3 | アウトドア | |
バッテリー容量 | 6700mAh | 2600mAh |
充電時間 | 4h | 2.5h |
連続再生時間 | 最大24h | 12h |
バッテリー容量を比較すると、表記的には「Anker Soundcore 3」の方が約2.5倍大きいですが、実際にはそこまでの容量差はありません。
「Xiaomi サウンドアウトドア」は公式に「リチウムイオン、7.2V、2600mAh」と表記されていますが、「Anker Soundcore 3」は「6700mAh」という表記しかなく、バッテリー電圧については記載されておりません。
調べてみると、「Anker Soundcore 3」のバッテリーは「リチウムイオン、7.2V、3350mAh」のようです。つまり、3.6V・3350mAhのリチウムイオン電池を2個直列に接続し、それを6700mAhという表記にしているのでしょう。
ここから、正確な容量差を計算すると以下のようになります。
■ Anker Soundcore 3
7.2V×3350mAh=24120mWh=24.12Wh
■ Xiaomi サウンドアウトドア
7.2V×2600mAh=18720mWh=18.72Wh
このことから、バッテリー容量は「Anker Soundcore 3」の方が約1.3倍大きい。
バッテリー容量は公式表記ほどの差はありませんね。
また、連続再生時間に関しては比較しても無意味なので割愛します。そもそも出力が違いますし、条件によって変わりますからね。どちらも10時間以上は使えますし、実用上は問題無いレベルでしょう。
どちらの方がお風呂用スピーカーとして優秀か?
これまで外観や性能を比較してきましたが、どちらがお風呂用スピーカーとして優秀なのでしょうか?実際に私が使用した感想を率直に書きたいと思います。
まず、私が使用した環境は以下の通りです。
- TOTOシステムバス
- 1616サイズ(1坪サイズ)
この環境で聴き比べた結果、
断然、「Anker Soundcore 3」の方が音質が良い!
それも圧倒的に。
簡潔に書くと、以下のようになります。
- 「Anker Soundcore 3」は高音域から低音域までバランスが良く、聴きやすい音質である
- 「Xiaomi サウンドアウトドア」は低音が強調されているもののキレが無くバランスが悪い。聴いていて非常に疲れる音質
「Xiaomi サウンドアウトドア」は重低音を売りにしているだけあり、確かに低音が効いています。でも、中音域寄りの低音も一緒に強調されてしまうので、決してパンチが効いている音じゃないんですよね。それでもバランスが整っていれば問題ないのですが、明らかに低音が強めな設定なので歪な音質に感じます。
特に、動画を聴いているときは一段とキツイです。ハッキリ言って疲れます・・・
一般的な動画は「会話+バックグラウンドBGM」で構成されることが多いですが、これとの相性がすこぶる悪いんですよね。「会話+バックグラウンドBGM」で構成する動画の場合、制作側のセオリーとして会話音量を強めに設定し、バックグラウンドBGMを弱めにするのが一般的です。その際、「Xiaomi サウンドアウトドア」で動画を聴いていると、バックグラウンドBGMの低音域が強調されて耳に入ってきます。しかも中音域寄りの低音から聴こえてきますので「BGMが鳴っているな」と認識できてしまいます。そうすると、ほとんど聴こえないBGMの高音域を耳が探しに行くんですよね。その結果、耳と頭が疲れてしまい、キツイと感じるんです。
これは J-POP なんかを聴いていても同様でした。やっぱり疲れる。出しゃばり過ぎている低音をアプリで制御できれば良かったのですが、「Xiaomi サウンドアウトドア」は残念ながらアプリには非対応。この辺もちぐはぐな設計だと言わざるを得ません。少しだけフォローするなら、クラシックは何とか聴けるかなって感じですかね。
それに対し「Anker Soundcore 3」は高音域から低音域までバランスが良いですので、そもまま聴いてもストレスフリーです。もし気に入らなかったとしても、アプリからイコライザーを設定できますので柔軟性も高いです。
と言うわけで、私が実際にお風呂で聴き比べた結果をまとめます。
SC3 | アウトドア | |
動画 | 〇 | × |
J-POP | 〇 | × |
オーケストラ | 〇 | 〇 |
※私の主観的な評価です
部屋で使った場合の評価は?
この記事の主題から外れますが、「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」を部屋で使った場合の評価について書きたいと思います。
部屋での使用については評価が一変し、「Xiaomi サウンドアウトドア」の方が良い音質だと感じました。さすがに「Anker Soundcore 3」の16Wではパワー不足。音が籠って聴こえますし、スカスカの音に感じてしまいます。それに対し「Xiaomi サウンドアウトドア」は30Wのパワーを発揮し、音の広がりを感じさせてくれます。
ただし、これはあくまで両者を比較した場合の話です。と言うのも、部屋で使う場合はライバルとなるスピーカーが飛躍的に増えてしまいます。PCモニターとの接続なら、ヘッドホンやイヤホンの方が手軽に高音質を楽しめますし、TVとの接続ならもっとハイクラスのスピーカーも購入対象になるでしょう。「Xiaomi サウンドアウトドア」は所詮30W程度の出力(しかもモノラル)ですし、部屋で使うとなるとパワー不足なのは変わりありませんから。
皮肉なことですが、「Xiaomi サウンドアウトドア」はお風呂場という狭い空間では「重低音が上手くコントロールできないじゃじゃ馬」だったのに対し、部屋みたいな広い空間になると「パワー不足を露呈し、その結果、バランスの取れた音に聴こえる」に過ぎないんですよね。
そもそも論として、両者ともAUXポートがありませんのでPCモニターやTVとの接続に向いていません。Bluetooth接続で使うこともできますが、忘れたころに充電が必要になったり、使うたびに電源スイッチを押したりと使い勝手は良くありません。「Xiaomi サウンドアウトドア」はステレオペア(TWS)を使って高出力化が可能ですが、それならそれで価格も2倍となりますし、その価格帯になってしまえばサウンドバーなども選択肢に入ってきます。
結論的にはこうなります。
部屋で使う場合なら「Anker Soundcore 3」より「Xiaomi サウンドアウトドア」の方が音質が良い。ただし、ベストチョイスという訳ではない。
まとめ
この記事では「Anker Soundcore 3」と「Xiaomi サウンドアウトドア」を比較し、細かくレビューしました。記事に書いた通り、個人的にお風呂用としては「Anker Soundcore 3」の方が圧倒的に良い音に聴こえましたし、お風呂用として購入を検討している人にはこちらをおすすめします。
「Xiaomi サウンドアウトドア」は広い空間にも対応させるべく高出力なのですが、お風呂のような狭い空間では荒さが目立ってしまっています。さらに言えば、細かいところまで設計が詰められておらず、ちょっと使いにくい印象を持ちました。
両者とも外観・価格帯などが近く、一見すると似たようなコンセプトのスピーカーに見えますが、実際は性格が全く異なる製品です。購入する際は、使用目的を明確にした上で選ぶことをおすすめします。
「Anker Soundcore 3」の外観総評としては、水回りで使われることを意識してデザインされているなと感じました。
水に濡らした様子
上の画像はお風呂場でシャワーを掛けた様子ですが、正面の金属メッシュはやはり水を通しにくいですね。上面には水溜りができているのですが、一体成型のラバーで覆われているおかげで水漏れの心配は一切ありません。タオルで軽く拭くだけで簡単に綺麗になります。
また、本体全体が滑りにくい素材で覆われていますので、お風呂上りで本体が濡れていても安心感があります。本体重量は500gありますので、落とした場合は本体だけでなく落とした箇所にもダメージを与えかねませんからね(足に直撃したら痛いだろうなぁ・・・)。
全体的にはシンプルな外観をしており、悪く言えば「無機質」なのですが、個人的にはデザインコンセプトが明確で好感が持てるデザインです。