体罰の定義
近年、教育現場における体罰が問題になることがあります。
昔は学校で当然のようにあった体罰ですが、現在は原則禁止になっています。
体罰の定義は以下の通りです。
教育的な名目で児童・生徒の身体に、直接的又は間接的に、肉体的苦痛を与える行為。
体罰の例
以下のものが体罰にあたります。
① 直接的な体罰
・たたく
・殴る
・蹴る
② 間接的な体罰
・長時間の正座
・長時間、廊下に立たせる
・無理に給食を完食させる
私が受けた部活動での体罰
体罰と言うと、学校生活においては部活動に締める割合が多いのは、今も昔も変わらないのではないでしょうか?
部活動における体罰は、部員の統率やスキルアップを促す目的(指導者の一方的な考え)が多いと思います。
私は小学校から大学まで野球をやっていましたので、体罰を受けた経験は当然あります。
中学校野球部での体罰
中学校の野球部における、監督からの体罰は生活指導に対するものがほとんどでした。
練習態度が悪い、時間を守れていないなどですね。
私は自分達の代(中学2年の夏)からキャプテンになりました。
ある大会で集合時間に遅刻する生徒が多くて(私もその一人)、試合前に我々2年生は全員平手打ちを受けます。
試合のアップ前に一列に並ばされ、片っ端から平手打ちを一発づつ。
キャプテンだった私が最後だったのですが、平手打ちを食らった瞬間、逆サイドから手が伸びて来るのが見えました。
そう、私だけは一発ではなかったのです。
それも二発では済みませんでした。
はっきり言って、何発平手打ちを食らったのか判らないほど、受け続けました。
とにかく、右、左、右、左と続くのでフラフラしていましたので。
終った頃には、鼻血が出ていました。
このとき試合観戦に多くの保護者が来ており、私の親もいましたので、とにかく『恥ずかしい気持ち』が強かったことを覚えています。
当時は体罰がありふれていた時代です。
ですので、特に問題になることはありませんでしたし、私自身も自分の立場とやったことを考えると、それなりに納得はしていました。
高校野球部での体罰
高校での監督からの体罰はスキルアップ目的がほとんでした。
基本的に監督は怖い人だったので、生活態度を指摘されるようなことをする野球部員は、ほとんどいませんでしたからね。
体罰は主に平手打ちが多かったです。
練習や試合でエラーをしたり、バントミスをしたりすると体罰の対象になります。
サインミスなどはもっての他です。
後は、練習や試合前のシートノックでエラーを繰り返すと、いきなり打球速度を上げて特守が始まることがありました。
単純に『シゴキ』目的で、強い打球を打って『絶対、後ろへ逸らすな!』と言いながらノックを打ち続けるのです。
長時間の正座もよくありましたよ。
私はそれなりに正座に耐えられる方なのですが、スパイクを履いていると辛いんです。
スパイクの歯を避けながら座らなくてはいけませんからね。
繰り返しになりますが、当時は体罰が当然の時代です。
私の学校だけでなく他校もありましたし、もっと酷い体罰を受けている学校の選手も見ていますので、
まだ、マシな方なんだろうなぁ
と思っていました。
体罰は成長を促すか?
ハッキリ言います。答えは『ノー』です。
特に部活動における、スキルアップ目的の体罰など意味はありません。
いくら上達させようと体罰を与えても、選手は以下のようになるだけです。
・監督の顔色を伺いながらプレーする。
・監督に言われたことを忠実に出来るようにプレーする。
そうすると、自分の頭で『合理的な動作やプレーとは何か?』を考えなくなります。
監督が言っていることが全て正しいと錯覚してしまうんです。
これが、最大の弊害ではないでしょうか?
確かに恫喝や暴力を振るえば、恐怖により、人を従えさせやすくなるでしょう。
でも、自分で考える余地を与えなければ、より高いレベルへの成長はありえないのです。
部活動に代表されるような、能力向上を目的とした『体罰』は意味は無く、成長を促さないと思っています。
体罰は全てノーか?
では、全ての体罰は絶対ダメなんでしょうか?これは各々意見があるかと思います。
私は、時には体罰も必要だと思っています。
例えば、自分または他人に怪我を負わせる行為や、生命が脅かされる行為について。
野球部のケースで言うと、以下のようなことですかね。
・周囲に人がいないことを確認せず、素振りをやっている。
・グランド上で打球が飛んでくる方向を見ていない。
素振りは野球選手なら必ずやる練習方法ですが、周囲を確認せずやってしまうと大変危険です。
周囲の人の頭にバットが当たれば、死んでしまうこともあります。
と言うか、高校野球でホームランを打てる能力がある人が、本気でスイングすれば確実に死ぬでしょう。
あと、グランド上では守備練習であろうと、打撃練習であろうと、常に打球が飛んでくる方向を確認しなくてはいけません。
ボールが不意に当たったりすることがあるからです。
軟式球はともかく、硬式球ともなると頭部にボールが当たると、死に至ることもあるのです。
頭部に限らず、目でも鼻でも当たれば大怪我をおいます。
こういうことは、強いチームほど徹底されており、弱いチームほど徹底されていないんです。
強いチームほど練習中のテンポが早かったり、守備練習におけるノッカーの打球速度や打撃練習における打者の打球が速かったりしますから、特に注意が必要ですからね。
当然、これらはグラウンドに立つ前に、口頭で教えておく必要があります。
それも繰り返し。
それでも、守れなかったら『体罰』も必要ではないでしょうか?
これらの事故は、取り返しのつかない事態を生みますし、ハッキリ行って個人が責任を取れません。
いくら『今後は気をつけます』なんて言っても、遅いのです。
でも『体罰』と言っても、怪我をさせるようなレベルは論外ですけどね。
怪我をさせるような体罰は、もはや指導の域を越えて、感情を抑えきれず暴力を振るっているだけです。
いかなる理由があろうとも怪我をさせてしまう『体罰』は必要ありません。